解熱剤と熱々の鶏スープ、頭痛医頭・脚痛医脚では根治ならず

 全快した。今日からフル稼働で仕事に復帰する。
 
 昨日は一日高熱。トイレに行くだけで、体が寒気してぶるぶるする。今回の菌は凄い。いつも私は、一晩で治るのだが、今回は、まる一日以上続いた。解熱剤を飲んでも全然効かない。朝から食欲がまったくなく、何も口にしない。

 「ねっ、遊んで、遊んで・・・」、ベッドに愛犬のゴン太君が登ってくる。気力がない私の姿に、異変を感じたのか、すぐに引き下がって、静かに一人で遊んでくれた。

 午後いったん下がった熱は、夕方から再びぶり返した。熱がぐんぐん上がる。頭に氷袋を乗せても、体が焼肉の鉄板のようにどんどん熱くなっていく。

 一日何も食べていないので、夜8時、アサリと冬瓜の入った鶏スープを口にした。地鶏のささみがさっぱりしていて、鶏のうま味とアサリのうま味がとろとろになった冬瓜に溶け込んで、絶妙なハーモニーを織り成す。食いしん坊の魂が蘇った。高熱を忘れたかのように、熱々のスープを立て続け3杯飲んだ。

 頭から汗が吹き出る。次第に全身からじわじわ汗が出始める。3杯のスープが終わった頃、その勢いでさらに熱々の鶏粥を1杯。すると、汗がとまらなくなって、顔からはぽたぽたと落ちてくる。

 奇跡が起こった。熱が見る見る下がっていく。信じられないほど、頭がすっきり状態に回復し始める。2時間後は、全身から熱が引いた。爽快!

 熱が出るというのは、体内の菌を殺すためだといわれている。これで考えると、解熱剤を飲んではいけないことになる。あまり熱が出すぎると、体の他の機能に支障を来たすから、やはりある程度抑えつける必要もあるだろう。いずれにしても、解熱剤は病気の根治ではないはずだ。

 コンサルティング現場でも、熱を出している企業が多い。解熱剤を売れば、コンサルタントの収益になる。けれど、熱々の鶏スープを飲めというコンサルタントはそう多くない。中国語で、「頭痛医頭、脚痛医脚」という言い方がある。「頭痛のときは頭を治療し、脚が痛いときは脚を治療する」、対症療法的で根本的な原因を治していないことを言っている、「一時しのぎ」ということだ。熱が出れば、解熱剤で熱を取る。では、熱の原因が菌だから、今度は抗菌剤。もう一歩進んで、菌の生活環境を考えたらどうだ。その環境をなくせば菌も自然に死滅する。

 昨今、がん治療にも、新生血管抑制療法などがん細胞の基本的生活環境に着目した新療法が開発されている。がんは栄養を補給するために腫瘍血管と呼ばれる特別な血管を作る。この腫瘍血管が新しくできることを抑制することで、がんの生活環境を破壊するという療法である。

 企業の病気に、当座の応急処置が必要な場面もあるし、また対症治療も欠かせない。ただ、それら姑息な処置に甘んじると、根治しない病気は再発したり悪化したり、また別の病気を誘発したりして後始末が悪くなる。私のコンサルティング・メニューには、いま下記四種類が記されている。解熱剤も熱々の鶏スープも入っていれば、体質改善・増強のトレーニングプログラムも入っている。

★応急コンサルティング
 当座の緊急事態・トラブルをとりあえず乗り切るためのコンサルティングと実務支援です。
 【例】: 解雇トラブル、補償金・賠償金トラブル、残業代トラブル、不正や違反事件、ストライキ、経営妨害など個別突発事件の対処、助言など。

★対症コンサルティング
 問題の根源を取り除くのではなく、問題がもたらす一連の症状を緩和・解消させるためのコンサルティングと実務支援です。
 【例】: 無固定期間契約問題、解雇・雇い止め問題、労働時間・残業・休暇問題など特定制度上の問題の解決、関連法律文書の製作や審査など。

★原因コンサルティング
 問題の真の根源を見付け、根こそぎ取り除くためのコンサルティングと実務支援です。
 【例】: 人事労務制度の全体的見直しから問題洗い出し、ソリューション提案、制度構築、実施、フォロー・メンテナンスまで整合性のあるトータル・コンサルティング。

★体質コンサルティング
 「悪」の抑制・「善」の助長、組織の免疫力・自然治癒力の向上、健康維持のためのコンサルティングと実務支援です。
 【例】: 中堅人材の育成、福利・年金・インセンティブ制度の構築、知財管理制度の構築など。