起業独立体験談(3)~やめた方が良い、こんな中国起業と投資

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 当社では、ここ数年個人や中小企業の中国(起業)投資案件をほとんど受けていない。知人や取引先の紹介で、義理人情でやっているものは数件あったが。

 「日本はもうダメだ。これからは中国市場だから、是非進出したい。何が儲かるんですか」
 「当社の製品は日本でもトップクラス、自信をもって中国で売りたい」
 「13億の人口で、1人1元の商売でも13億元の売り上げですよね」
 ・・・
 日本国内市場の閉塞感が中国進出を加速させている。ただそれだけの動機付けではうまく行かない。起業といえば、なぜかコンサルティングと外食が多い。私自身も一時外食に係わったことがあったが、見事に失敗。門外漢や二足のわらじではやっぱりダメだという結論に至った。ただ、敗因はしっかり突き止めた。負けそうな投資案件は、匂いで分かるようになった。

 「私は自分自身、外食で投資失敗を経験しているのです。それでも良ければ、なぜ失敗したかを教えることはできます」と、私は外食案件の顧客にははっきり言う。

 特に個人の方、コツコツ溜め込んだ数百万円や数千万円の起業資金で、商売を中国で始めようというと、それは大変なことだ。勝ち目のない起業は、勉強代でもいいからやりたいというのなら別だが、そうでなければやめた方が良い。

 「私は、中国人の親友がいて、その人の話ではこの商売は絶対に大丈夫です」と、こういう方もいる。
 「あなたに、何人の中国人の親友がいますか」、私が聞く。
 「親友といえるのがこの一人だけ」
 「その親友は、あなたの将来のお客さんになる予定ですか」
 「いいえ、事業のパートナーになります」
 「じゃ、あなたの顧客になりそうな中国人や日本人、10人くらい見付けて、聞いてみてください」、私はアドバイスする。

 市場調査の情報チャンネルの問題が大きい。単一情報チャンネルで尚且つその情報源が案件の利害関係に絡んでいるのならば、情報の信憑性をまず疑いなさいと、私がいつもアドバイスしている。

 結論その三、複数の情報源、できれば、利害関係相反の情報源を確保せよ。

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