起業独立体験談(7)~靴屋は百貨店と戦わない

<前回>

 先日ブログで書いた「2010年1月9日 顧客に『NO』という、信念曲げての商売は断る」に、読者の方から激励の言葉をいただいた。嬉しい一方、正直なことを言っておかなければならない。

 私が英雄を気取ってやっているわけではない。先天的には自分の性格がストレートで、後天的には大学は理系出身で、回りくどい言い回しよりも、論理的なアプローチが好きだ、という背景がある。そして、独立起業したとき、そうしようと決めたのだった。

 差別化!弱小企業では、差別化をなくして大企業と正面から戦えない。起業当時、契約が決まりそうになった矢先、一転キャンセルされたことは何回も何回もあった。競合の大手コンサル会社や有名シンクタンクのネームバリューには勝てない、我々零細企業の致命傷だ。そこで、何か方法はないものかといろいろ思案した。一つ思いついたのは、競合他社の大手が絶対に持ち得ないものを何か一つだけ持つことだ。いわゆる差別化で、ニッチ市場を狙うことだ。

 ここ数年、業容拡張に逆行して、当社はダウンサイジングを断行した。一時従業員が20名越えたときもあったが、三分の二をカットした。業務も、コアの人事労務に集中する。一時売り上げは急減したが、だんだん回復し、いまは最盛期の売り上げに戻りつつ、大幅のコスト削減で増益を果たした。それだけでなく、ネームバリューも大幅の改善が見られた。

 「エリス・コンサルティングさんとA大手コンサルさんとは、どこが違うのですか」と聞かれると、私はいつも次のように答える。

 「A社さんは立派な百貨店だとすれば、当社エリス・コンサルティングは最高品質の靴屋です。靴に関しては、どこにも負けていません。中国一という自信があります。足にフィットして、歩きやすくて、通気性も抜群の靴を私たちが作っています。日常、常に酷使されているのは足です。全体重をこの二本の足で支えているので、大変なものです。 だから、足を労わりましょうと。足とは、全企業を支えている人事制度なのです・・・」

 以上が私のセールストークだった。あちこちに売り込みをかけていた数年前よく使っていたセリフだった。

 結論その七、何か一つだけ人が持っていないものを持て。

 そして、最後に結論八、いうまでもなく、誠実に当たり前のことを当たり前にやることだ。

<終わり>