黄金の国、中国

 チョコレートではありません。本物の金、しかも、金地金、ゴールドバー、いわゆる金の延べ棒である。

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 国家中央銀行の金庫ではなく、先日出張帰りに通りかかった北京首都空港の金製品販売店の常設展示である。よく見ると、12.5キロと表示されている。2011年4月現在の金地金の相場は、1キロあたり 400万円強なので、この金の塊は5000万円以上もするのだ。

 金の延べ棒は、中国語で小型ものを「金条」、大型ものを「金磚」という。「磚(ズワァン)」とは、建築の壁の造成に用いられる煉瓦のこと。通常、正方形や長方形の厚い平板だが、何と、「金の煉瓦」、この「金磚」なのだから、迫力満点だ。

 「金磚四国」。

 日本の四国に金鉱があるわけではない。「金磚四国」とは、「ブラジル、ロシア、インド、中国」のBRICs の中文表示だ。なるほど、英語の「Brick」とは、「煉瓦」のことで、そこから、巧妙に中文訳が考案されたのだった。

 「金磚四国」はお金になる。ブラジルは「世界の原料供給地」、ロシアは「世界のガソリンスタンド」、インドは「世界のオフィス」、そして、中国は「世界の工場」と「世界の市場」の二重の地位をもっている。今後の5年や10年、中国の「工場」と「市場」、どれがお金になるか、それは投資者の眼力、知力、迫力、忍耐力にかかっている。そして、何よりも、「自己改造力」である。

 さて、日本企業は、「金磚」の中国で最終ラウンドまで戦い、勝ち残ることができるのか。現状を見る限り、私はとても悲観的だ。二八法則で考えれば、2割もの勝者が残ればいい方だ。

 「自己改造力」の欠如と不在が、日本企業の致命傷である。