チェコ紀行(4)~中世の街に迷い込む

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65796_1チェスキー・クルムロフ城の塔から眺める街並み

 10月5日(水)~10月7日(金)、2泊3日の日程でチェスキー・クルムロフに滞在する。プラハからの日帰りツアーが一般的だが、観光客が引いたあとの静かな夜を楽しもうと、2泊も予定を組んでみた。

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65796b_2路地裏に迷い込む

 「世界一美しい街」

 南ボヘミア州のチェスキー・クルムロフは、中世の美しい街並みがそのまま残されている小さな古都。S字型に流れるヴルタヴァ川に沿った街全体が世界遺産に指定されており、中世の原風景が人々の生活に溶け込んだ稀有な場所だ。

 街のシンボル、チェスキー・クルムロフ城は、ゴシック様式とルネッサンス様式が混在した中欧最大級の複合建築物。城の塔から眺める街並みはまさに絶景。

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65796b_3ヴルタヴァ川のせせらぎをBGMに、名物料理のロースト・ダックを楽しむ

 ナチス・ドイツによる街の占領と、その後の共産党の独裁体制下で伝統文化が否定されたことから、城は荒れ果て、廃墟同然となってしまった。チェコが民主化された後、城の修復に取り組まれ、今日再び中世の美しい姿を取り戻したという。

 「変化が大きい」「変化が速い」。――中国の経済成長を形容するにはこのような表現が欠かせない。しかし、チェコ、特にこの中世の街、チェスキー・クルムロフはいかに、「不変」にこだわり、過去を大切にしているのだろう。

65796_4ホテルの窓から眺める、幻想的な夕暮れ

 建設には必ず破壊が伴う。破壊に基づく建設で得られる経済効果は果たして国民が望むものだろうか・・・

 今の世界は中世より何倍も何十倍も便利になり、豊かになった。しかし、われわれは中世の何かに魅かれている。その何かとは何だろうか。

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