日本語と中国語の翻訳、一番難しいのは「漢字」

 外注の翻訳会社からの成果物をチェックしている。

 日本語と中国語の翻訳や通訳で、一番難しいのは何かというと、「漢字」なのだ。日中二ヶ国語は同じ(類似)漢字を使うが、このメリットが一気にデメリットに転じる場面が多いからだ。私は仕事上膨大な量の資料を使っているので、外注の翻訳会社に一部依頼しているが、たびたび文句をいうのがこの漢字の翻訳なのである。

 たとえば、中文の「身体検査」を、漢字のまま置き換えて日本語にすると、おかしくないか。日本語だと、「健康診断」だよね。中文の「企業改組」は、日本語では「企業再編」や「経営統合」になるし、「給料発給」よりも、「給料支給」が日本語らしいではないか。「人材を吸引する」といったら通じなくはないが、「人材を引き付ける」とか「人材の確保」のほうがより洗練されているのではないか。「一つの問題を象徴している 」というのは、要は「一つの問題を示唆している」だよね・・・。

 翻訳会社に文句を言いつつ、時間をかけて一つ一つ直している。中国語を勉強している日本人も、日本語を勉強している中国人も、大勢いるが、外国語以前の問題で、もう少し母国語をしっかりしようねと言いたくなる。