ニューヨーク連邦準備銀行が発行した最新研究報告『地政学的リスクとデカップリング:米国の輸出規制の検証』(2024年4月第1096号)では、驚くべき事実を明らかにした――。

現在の米中技術競争の中で、米国は中国の戦略的ハイテク技術へのアクセスを拒否するために輸出規制を課している。こうした措置が米中のサプライチェーンの広範なデカップリングを促した。しかし、その結果としては、米国自身が中国以上に損害を蒙っていることがわかった。
1. 輸出規制を受けた米国企業の対中取引はどうなったか?ほとんどの米国企業は、米国政府の規制要請に従って中国企業との取引に対して相応の調整を行い、とりわけ脱法・違法行為は見られない。
2. 規制を受けた米国企業の財務にどんな影響を与えたか?売上減少が明らかで、巨額の経済的損失を蒙り、株価の下落に見舞われている。さらに銀行融資も困難になったという。
3. 中国との取引を解消した米国企業は米国回帰したか?あるいは中国以外に新たなサプライチェーン(顧客)を見つけたか?いずれも回答はノーだ。少なくとも短中期的にベトナムやインドが中国の代替役になっていない。
4. 規制は中国企業にどんな影響を与えたか?中国は自国内・地域的(非米系)サプライチェーンの再構築に動き出し、すでに一部奏功している。そのため、規制の効用が次第に薄れていく。さらに、規制が中国の自主開発を促している(補足:これは中長期的に中国による世界市場の制覇に有利である)。
総じていえば、規制によって、米国企業が中国企業よりもはるかに大きな被害を受け、なお長期的に中国に有利な展開になることが明らかになった。対露制裁も同じだったように、制裁を受けたロシアが逆に経済成長を果たした。地政学の問題を経済的手段で解決しようとしても、無駄である。
言い換えれば、民主主義の経済的敗北ともいえる。




