ケニア(10)~ブッシュサバンナに泊まる、キチュワ・テンボ

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 8月14日午前11時過ぎ、サファリリンク社のセスナ機でマサイマラ国立保護区に到着。マサイマラ国立保護区は広大で、空港ならぬ滑走路は複数設けられている。飛行機に乗ると、本日の滑走路の着陸順をアナウンスしてくれる。自分が降りる滑走路名をよく確認しておかないと、バス停を間違えるよりは深刻な結果となる。

 私が利用する滑走路は1番目の着陸になっている。飛行機から降りると、すでに宿泊施設のスタッフが熱いコーヒーと紅茶、ビスケットを用意して待機していた。それは嬉しい。

86080_1私が泊まる「キチュワ・テンボ・サファリキャンプ」37番テント

 今回のサファリカーは、当初の3日間は混載となる(私たちだけが4泊)。イタリア人の熟年夫婦、ノルウェー人の新婚夫婦、そして立花家族の3組6名である。ドライバーのモーゼスさんはケニア人で、会話は当然英語。

86080_286080b_2テント内は機能的に設計されている、水洗トイレもある

 サファリの宿泊施設には、ホテルという概念が存在しない。基本的に「ロッジ」と「キャンプ」の二種類しかない。アンボセリはロッジだったが、ここマサイマラでは、「キチュワ・テンボ・サファリキャンプ(Kichwa Tembo Masai Mara)」というキャンプに4泊することで、異なる体験を楽しみにしていた。

86080_386080b_3キャンプのレストラン・バー

 正確に言うと、英語では「テンテッド・キャンプ(Tented Camp)」といって、野宿同然の簡易テントではなく、電気、水、お湯、水洗トイレ、シャワー付きの豪華テントであって、レストランやバーまで完備し、機能的にはホテルに近いキャンプ場である。

 もちろん、広大で荒涼なサバンナのど真ん中にあるわけだから、インフラ建設には莫大なコストがかかるし、日々の食料の運搬も大変だろう。そして、何よりもスタッフが帰宅することができないので、ホテルの全スタッフのために敷地内に従業員テント棟が設けられているのだ。

 私たちが泊まる37番テントは、ロビー棟から山道を延々と歩くこと8~10分、メインのテント群から離れた敷地の端にある。環境は抜群。テント前の小道は専用で、他の客が通ることがなく、周りは森に囲まれている。小鳥のさえずりはもちろんのこと、サバンナを一望し、移動中のアフリカゾウを眺めるほか、近くまでバッファローがやってきたり、さらにイボイノシシや鹿がテントのすぐ前に草を求めて訪問してきたりする。

86080_4ワイルドなブッシュディナー
86080b_4キャンプファイヤー

 この「キチュワ・テンボ・サファリキャンプ」では、まず日本人に遭う確率はゼロに近い。アジア人客でもほとんど見ない、白人率が98%以上。そのお蔭で私たちの顔がすぐ覚えられてどこにいっても親切にしてくれるのである。

 この施設は、南アフリカに本社のある「&Beyond」という大手サファリ・オペレーターの直営キャンプである。予約ももちろんのこと、事前の支払いも南アフリカ・ランド建でヨハネスブルグの銀行宛に決裁していた。

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