ハナへ(4月27日、ハナ絶食初日)
ある日、
野良だった君がマルと一緒に
我が家にやってきた。
そして離れようとしなかった。
絆で結ばれていた私たちは
あの日から、
どれだけの時間を一緒に寄り添って歩んできただろう。
11年が経った。
君は言葉を持たなかったけれど、
その瞳は、
その耳は、
その背中は、
そして体の温もりは、
すべてを語っていた。
嬉しい時も、
辛い時も、
ただ静かに、
ただ確かに、
君はそばにいてくれた。
何も言葉は要らない。
その温もりだけでいい。
今日、君はもう飲まず、食べず、
力を使い果たそうとしている。
私は、つい口にしてしまった。
「ハナ、もう頑張らなくていいよ」と。
本当は、
いつまでも君といたい。
できるなら、
あと一か月、一年、いやずっと
君の温もりを感じていたい。
だけど、
それは私のわがままだと、わかっている。
君はもう、
十分に生きてくれた。
十分に、私たちに与えてくれた。
十分すぎるほど、君は君の犬生を全うした。
だから、ハナ。
もう、無理をしなくていい。
君が安心して静かに眠れるなら、
私の心は千切れてもかまわない。
ありがとう、ハナ。
ありがとう。
言葉では足りないけれど、
君がいてくれたこと、
私たちは一生忘れない。
そしてずっと絆で結ばれている。
あなたの温もりは、
私の体に焼き付いている。
君のすべてに、
感謝と、愛をこめて。