日の丸を掲げるだけでなぜ右になるのか、左寄りは右がよい

 不思議なことがある。日の丸と右翼、右翼と悪、なぜいつもイコールされるのだろう。国旗を掲げるだけでなぜ右になるのか、右はなぜ悪なのか。ロジックが通じなくないのか。そもそも右も左も相対的ではないか。

 私の労働法博士の指導教授、中国労働法(注:労働法であって、労働契約法ではない)立法諮問委員会首席の董保華先生がご自身のことについて、こう語る。

 「私は、90年代に労働者利益の保護を主張した。そのとき、左翼と言われた。その時中国は外資誘致や資本家保護一色の右寄りだった。そして今、労働者保護の左が主流になるなか、私は企業利益の保護を主張したら、右だと後ろ指差された。私は、労使の利益を均等に保護しようと一貫して中道を主張してきて、何も変わっていない。所謂主流の連中らが功利主義的に、短期利益で左右蛇行しているから、こういうことになったわけだ」

 董先生と私の共著「中国労働契約法」(中央経済社)が日本で刊行したとき、董先生が私の担当執筆章節を読んで、笑って私にこう言った。「私自身がよく右と言われるが、君はときどき私よりさらに右に行っているね、でも、左よりは右の方がいいよ」