営業してはいけない、コンサル商品の売り方

 上海出張中。今回はセミナー1回のみで、あとは案件打ち合わせと、案件打診ミーティング。

160614-1143-Cameron Highland-農業研究試験場キャメロン高原の花(2016年6月14日撮影)

 案件打診ミーティングというのは、企業現状のヒアリングをベースにコンサル案件として受けられるかどうか(成果を出せるかどうか)の確認作業である。実質的課題の特定や解決策の提示は行わないので、相談料をいただかない。

 無料ほど難しいことはない。ときどき答えが分かっていても喋れないのが辛い。これもコンサル料を払ってくれている顧客への公正性と思ってやっている。

 答えは出せないが、案件として受けられるかどうか、アプローチの方向性は提示する。それから、何よりも副作用と失敗のリスクについて十分に説明を行うようにしている。

 情報の非対称性といって、顧客側が知り得ない不利益情報を業者側が把握している場面が多い。この不利益情報を我々が自ら開示していくのが職業倫理である。そこで契約を失うこともあるだろうが、それはそれで良いと思っている。リスクとどう向き合うべきか、それは顧客企業側の経営者の姿勢である。

 さらに、大型コンサル案件のご依頼について、コンサル料金が数千万円に上ることもあって、その償却は数年かかったりする。そこで、短期的に中国事業の撤退や他国への移転などを検討している企業には、むしろ大型制度構築の投資をやめようと、安価な制度最適化(現行制度の修正)で済ませるように提案している。

 ということで、私が経営しているコンサルティング会社では営業職たるポストは存在しない。コンサルという商品は営業をかけて売ってはいけないと思っているからだ。