私の失敗作、使えないものは価値ゼロ!

 今日も北京で一日顧客と打ち合わせでした。

 私は、あるミスを犯しました。

 北京の日系企業A社のご依頼で、人事制度、賃金制度、考課制度と就業規則の一式を作り上げました。コンプライアンス(法令遵守)、リスク管理等の緻密性について周到な検証をし、自信作を仕上げたところで、大きなミスが発覚されました。

 あまりにも緻密というか、フルバージョンの制度で、人事部、総務部等完璧な組織図をもつ企業ならよいのですが、このA社には適しているとはいえません。A社は中国国内に数拠点ありますが、社員総数数十名しかなく、各拠点とも日本人総経理が事実上一人ですべての管理業務を担当しているのです。すると、この制度は、総経理にとって過酷な負担としかなりえません。結果的に、有効的に使ってもらえないのなら、制度は何の意味もありません。

 北京出張前からやり直し作業に取り掛かり、北京で1日半の打ち合わせで、ようやく形が出来上がりました。シンプルで使いやすさを重視した再製作版のドラフトで、お客様の顔に笑顔が浮かんだのを見て、これ以上うれしいことは、ありません。

 人事制度を作り上げるのが、私の仕事のひとつです。制度を作ることは、「立法」に相当します。「立法」は、非常に難しいことですが、もっと難しいのが、「司法」、作られた法律は、いかに運用されるのか、分かりやすく言えば、作られた法律はちゃんと実際に役に立つかどうかです。

 通常、コンサルタントの商売は、作った制度(「成果物」というが)を顧客企業に納品すればそれで終了です。あとで、顧客企業がどう運用するか、また、実際に役に立つかどうかは、あまり関係がないのです。これでは、あまりにも、無責任です。

 問題の解決、結果に対して責任を取るのが、コンサルタントの基本だと思っています。

 ありがとうございました。ミスを是正する機会を与えてくれたお客様の寛容さに、感謝の気持ちで胸がいっぱいです・・・