取材予定が詰まっているので、ゆっくり食事を取る時間はない。旺角の「六四記念館」から中環への移動途中、適当に「焼味飯」の路面店に入る。
香港の「庶民御用達」B級グルメと言えば、「焼味飯」。大衆食堂の店先にローストしたガチョウやアヒル、鶏、豚などがぶら下がっている。その1種類か複数種類の盛り合わせを指定したら、肉をぶつ切りにし、ご飯や麺の上にどさっと乗せ、タレをかけて頬張る。
私一番好きなのは、「焼鵞飯」(ローストガチョウ)。肥えている皮と肉から「ジューシー感」満点の肉汁がご飯に染み込み、たちまち「昇天」するような一品である。グルメの街だけに、どの店で食べても美味しい。
旺角は庶民の下町。スーパーマーケットの全盛期とはいえ、昔ながらの市場は今なお健在。香港は国際金融センターになり、その洗練さによってアジアのカオスな雰囲気が完全に奪われたわけではない。微笑ましい風景である。
中環の集会が終わり、大好きなトラムに乗ってホテルに戻る。深夜、小腹がすいたところで、「待ってました」のように、あの、夢にも出てきそうな香港のワンタン麺にありつく。
ご馳走様でした。
<次回>