菜の花畑とJ-SOX法財務制度

 青空の下、一面の黄色い菜の花畑。ヨーロッパや北海道の原野を思わせる光景ですが、ここは、江蘇省の張家港です。

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 当社のクライアントは、上海市に集中していますが、ほかに、北京市、広東省、江蘇省、山東省などにも20~30社分布しています。お客様から、北京などへの支店出店要請を受けて2~3年もたちましたが、未だに進まず、なお上海本社のみです。

 適材が見付からないのが、支店開設先送りの要因です。下手にお店を出すと、コストだけでなく、当社基準に合致するサービスの提供ができないまま、のれんをぶち壊すのは、何よりも私が恐れていることです。江蘇省一帯のクライアントは、ほとんど蘇州、無錫、常熟、張家港あたりに集中していますので、日帰り出張で簡単に回れ、苦になりません。

 今日は、張家港の顧客企業A社へのコンサルティング訪問です。三ヶ月間の製作を終えた会計・財務標準ハンドブックの納品と説明会です。

 当社は、人事労務コンサルティング案件が大部分の7割を占めていますが、ほかに、財務・税務やマーケティング案件も結構な数量で受けています。

 今回の成果物は、A社日本本社の内部統制(J-SOX法)への連結現地法人財務制度一式です。連結制度作りとは、日本本社の制度(J-SOX適用)の現地化作業です。日本版制度を単に翻訳し、中国法のリーガルチェック(法務審査)だけで納品するコンサルティング会社もいますが、当社はまったく違うやり方です。

 まず、ヒアリングを行います。クライアントの財務部長、財務担当からお話を聴いた上で、問題の洗い出しをします。日本本社の枠組みに当てはめながらも、中国現地法令、会計基準を適用し、そのうえ、現地事情を十分に反映するものを作ります。せっかく、制度作りにコストをかけていただくので、この際、形式上のものでなく、使いやすくて、本当に役に立つ制度でなければ意味がありません。

 今回納品となった制度一式は、100ページほどの大規模なもので、「日本本社よりも立派だ」と言われながらも、現地の限られた人的資源で、これだけの制度を稼動させるのが、大変なことだなとずっと懸念していました。

 納品直前に、その心配はどうしても払拭できずに、あることを思いつきました。図表化です。すべての制度に、完全にメスを入れます。文字を大規模の要約でドラスティックに減らし、ほぼ全部図表、フローチャート化しました。

 土壇場の作業やり直しで、スタッフの徹夜作業が続きました。今日、図表とフローチャートを眺めて、「これは、使いやすい」と笑顔を見せるお客様を見て、胸が一杯になりました。

 苦労をたくさんかけても、文句一つ言わない、コツコツと作業に取り掛かるスタッフの姿を思い浮かべると、目頭が熱い。表舞台で華やかに活躍するコンサルタントの裏に、データの収集や整理から、資料の製本まで、一つ一つ黙々とこなしているスタッフたちがいなければ、コンサルタントは、とても、仕事を成し遂げることができません。

 心から、「ありがとう!」と言わせてください。