ダイヤモンド社の「年収が高い企業ランキング」をみると、従来の総合商社やテレビ局が圏外にはじかれ、「M&A」関連企業が目立つ。上位5社中に3社が「M&A」、直後の6位に入ったフロンティア・マネジメントもM&Aコンサル企業だ。
ダイヤモンド社(オンライン)
産業の再編が進んでいることを実感させてくれる統計だ。
「銀行が(食品や外食系)売り案件をどんどん持ってくる」。近頃忙しく動き回っている経営者・投資家の友人がこっそりと教えてくれる。
正直、日本の外食産業や娯楽産業は供給過剰だ。コロナに淘汰されるのもある意味で必要かもしれない。外飲禁止、消灯。大リストラ・大貧困時代に備えての節約には、良い施策だ。内食で家族の絆を強める、素晴らしいことではないか。
日本人なら誰でも気軽に外食するという時代が終わる。お酒なんか、もってのほか。お酒を飲む金がなければ、それも相対貧困のうちに入るかどうか分からないが、産業が委縮し、失業が拡大すれば、必ずそうなるだろう。善悪はなしだ。
コロナ以来、「経済を回す」というフレーズが目立つようになった。経済は回るもので、人為的に回すのが社会主義制度下の計画経済だ。おかしいだろう。
コロナの下でも、経済は回ってる。ただ回り方が変わった。「経済を回す」は、あたかも経済が止まったかのような危機感を煽って、単に変化した回り方を拒否して元の回り方に戻したいだけ。ニューノーマルによる淘汰組の惨烈な叫びである。
何も外食産業に限った話ではない。コロナが示してくれた新経済の特徴は、物理的接触・移動を排除するブロック化と中間業者の排除によるサプライチェーンの短縮化である。
一言でいうと、コロナによって、市場(いちば)的な市場(しじょう)が形成される。