ベトナム(1)~サイゴンのいちばん長い日

 10月7日朝8時40分発のドラゴン航空831便、またもや1時間の遅延。11時50分香港到着。香港で用事を済ませ、キャセイパシフィック航空765便で16時20分香港を飛び立ち、ホーチミン市へ向かう。

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 13年ぶりのベトナム。変わっていないのは、バイクの嵐。変わったのは、アオザイ姿の女性たちがジーパンとマスク姿になったことだ。経済成長はやはり民族文化の消滅を伴うものかといささか寂しく感じる。そして、空気も悪くなった・・・

44825b_2ホーチミン市到着

 宿泊先のマジェスティック・ホテル(Majestic Hotel Saigon)に到着すると、予約しておいたサイゴン川を見下ろすリバービュー部屋に通される。私は、このホテルにどうしても泊まってみたい。「サイゴンのいちばん長い日」(近藤紘一)という1冊の本が発端だった。

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44825b_3マジェスティック・ホテル

 ベトナム戦争中、開高健氏が朝日新聞社の特派員としてサイゴンに派遣された際には、このホテルを宿泊先として使っていたし、産経新聞特派員の近藤紘一をはじめとする世界各国のジャーナリストも使用していた。

 「窓を揺るがす爆発音、着弾と同時に盛り上がる巨大な炎の入道雲・・・」。1975年4月、6階のレストランが北ベトナム軍のロケット砲の直撃を受けて一部が破壊された。サイゴン陥落の舞台の一つとなったこのホテルは、歴史の証人として今日も健在。

44825_4マジェスティック・ホテルの客室
44825b_4部屋から見下ろすサイゴン川

 あのアメリカを敗戦に追い込んだベトナムはやはり偉大な国だ。サイゴン陥落、センチメンタルなセピア色に浸かっている暇もなく、経済成長の脈動で蘇るのはどんなベトナムか、先人たちはさぞかし想像もできぬことであろう。

<次回>