日本は観光立国?金融立国?そして中国の基幹産業とは?

● 観光立国も金融立国も幻

 寿司が美味しい。ラーメンも素晴らしい。――日本のメディアは相変わらず、日本の食べ物のおいしさで驚嘆する外国人観光客を取り上げ、得意げに報じている。正直、その手の報道はあまりにも簡単で、街角でいつでもそういう外国人が見つかるし、それらしき発言を引き出すこともさほど難しくない。

 かつて日本の電化製品、日本車が凄いと、電機や自動車産業が日本の基幹産業として稼げた。しかし、寿司やラーメン、和食が文化遺産になれても、国家基幹産業にはなり得ない。第三次産業で稼げるのは、代替性の低いハイテクと金融分野だけだ。残念ながら、飲食と観光は付加価値が低すぎる一方、不確定性が高すぎる。そして、業界は人手不足などでキャパに限界があり、疲弊化しやすい。

 日本の観光分野のGDP貢献度、2023年は41兆円でシェア6.8%。基幹産業ならば、少なくとも2~3割のシェアが必要だ。たとえ観光大国であるメキシコでも13%程度にとどまる。日本のような経済大国では、他産業の大幅縮小がない限り、観光産業の倍増では無理がある。

 観光立国は、幻想にすぎない。では、金融立国ではどうだろうか。岸田政権は昨年、資産運用立国を目指すと宣言した。日本の金融業の実質GDPは、1994年度の5.6%から、2021年度は4.8%と、逆に0.8ポイント下がっている。日本国内の金融機関の資産運用残高は、日本で首位の野村アセットマネジメントでも6000億ドルに満たず、世界の金融機関の資産運用残高(2021年末)での順位も50位以下。アジアの金融センターである香港やシンガポールとのギャップをどう埋めるか、ロードマップすら見えない。

 何よりも、金融改革は既得権益との戦いであり、今の日本社会においてほぼ不可能と言っても過言ではない。したがって、金融立国はむしろ観光立国以上の幻である。

● 中国の基幹産業は?

 以前、中国人の識者に「中国の基幹産業は何か」と聞いたら、「不動産」という答えが返ってくる。しかし、不動産は基幹産業になり得ないというのが私の持論だった。それが証明された。ここ数年、習近平政権はあえて不動産バブル潰しに踏み切り、産業構造の再構築に取り組んできた。

 今や、電気自動車(EV車)、リチウム電池、太陽電池の「新三様(新御三家)」が中国の輸出の新たな牽引役になったのである。特にEV車産業では、テスラを超越し、世界を席巻した。もちろん、アメリカは黙っていられない。華為、TikTokに続き、BYD叩きにも躍起した。

 気候変動対策・脱炭素化は、米国や西側、特にバイデン政権が先頭に立って取り組んできた課題である。そこで、伝統製造業を中心とする中国は、逆手に取ってEV車分野で逆転し、BYDがテスラを抜き世界一の座を手中にした。アメリカはさすがに自らの立場を覆すことができない。そこで、またもや「国家安全保障」上の問題を持ち出し、中国製EV車叩きを始める。

 今アメリカが中国にやっていることは、80年代に日本にやったのと同じことではないか。1980年代初頭、日本の自動車生産は1000万台を突破し、アメリカを上回って世界一となった。そこでアメリカは日本潰しに取り掛かった。5年の戦いで日本はついに屈服。1985年のプラザ合意の締結に至った。その後の米国は、ドル安によって輸出が復活したが、日本は、急速に円高が進行し、輸出が減少したため、「失われた30年」の幕開けとなった。日本の衰退、その元凶は中国でなく、アメリカなのだ。

 今の中国は、当時の日本と違って、アメリカに屈服しない。華為、TikTok、そして今はBYD。アメリカの口実はすべて、「国家安全保障」。アメリカってそんなにもろいのか?笑うに笑えない。あと数年で最終的に中国がアメリカを抜いて世界一の経済大国になるだろう。時代の流れを見誤ってはならない。

 基幹産業の話に戻るが、中国は一気にグリーン市場に食い込み、それを基本産業化する様子を見せている。日本国内ではいまだにEV車が果たして将来的に世界自動車市場の主流になるかどうか、議論を止めようとしない。中国はそんな悠長なことを語る暇もなく、とにかく売れるうちに市場を取っておこうと、挙国一致だ。

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