巨大ジャンボA380型機搭乗記、中国1号機で広州へ飛ぶ

 11月23日(水)、北京から広州へ移動する。今回は、あの総2階建ての最新鋭巨大ジャンボ機エアバスA380型機に搭乗する。スペシャル・フライト、便名も特別――中国南方航空CZ3000便。もちろん、中国国内では1号機、しかもOnly One。

68398_1北京首都空港に駐機中のA380

 通常の便よりも搭乗開始と締切時刻が早く(乗客数が多く、所要時間が長いため)、9時30分発の便に乗るために7時に宿泊先の北京ケンピンスキーを出発しなければならない。

 私が予約していたファーストクラスはアッパーデッキ(2階)にあり、窓側席の13Aを無事確保できた。チェックインを終え、南方航空のラウンジで軽く朝食を済ませると、早々と搭乗口へと向かう。

 北京首都空港第2ターミナル21番出発ゲートは、A380型機の専用ゲートだ。遠くからすでに、巨大ジャンボの垂直尾翼が見える。

68398b_1搭乗風景

 8時30分、出発1時間前から搭乗が始まる。ジャンボ機のB747と違って、A380の場合、アッパーデッキには専用搭乗ブリッジがあるため、機内の階段を使うことなく、直接に2階へアクセスできる。何だか飛行機よりも豪華クルーズ船に乗り込むような感じだ。

68398_2
68398b_2A380機のファーストクラス

 ジャケットをCAに預けて荷物を収納すると、さっそく機内探検が始まる。スペースは全体的に他機よりやや広め。機内照明はおそらく低電力のLED仕様で、デザインも洗練されているし、おしゃれだ。トイレの中はとにかく広いし、木目の紋様が高級感を出している。水道の蛇口はセンサー式。

68398_3バーコーナー

 南方航空のA380型機は、デラックス・ファースト、ファーストとエコノミーの3クラス構成で、ビジネスクラスはない。私が利用するファーストクラスの座席は1-2-1配置の3列になっている。座席はシェル型で、大型専用固定テーブルの中には、後部座席のフットレスト部分が収納されているため、座席そのものは前後交差になっている。プライベート性を考えると、私が利用する窓際の「A」席と反対側窓際の「K」席がもっともすぐれている。座席と通路の間に専用テーブルが遮断機能を果たしてくれるからだ。キャビン中間部の2席は、左右の座席が至近距離でくっ付いている列もあり、家族やカップルなら良いが・・・。

68398b_3トイレ

 窓際席の場合、窓の下に収納スペースがあるため、書類カバンやパソコンなどの小型手荷物は上の棚を利用することなく、すぐ手元の横に収納でき、フライト中の仕事には都合が良い(この点では、B747アッパーデッキも同じ)。もちろん、パソコンの電源も完備だし、ディスプレイにはUSB接続口も設けられているので、ビジネスマンは思わず嬉しくなる。さらに、フットレストの内部には靴箱まで備え付けられているため、飛行中に靴を収納することができる。

68398_4機能的なテーブルと座席コントローラー

 液晶テレビ画面のコントロールは、タッチパネルとリモコン両方が使えるので、座っている時も横になっている時もいつでも楽な姿勢で画面制御ができる。ブログラムも豊富だが、シンガポール航空などの一流海外キャリアに比べると遜色が否めないし、また選曲のセンスも良いとは言えない。

 肝心の座席はやや硬め。離着陸時に、一応正常ポジションに戻すようにCAがリマインドするが、フラットにならない限り、少々倒してもまったく注意されない。座席のコントロールは、移動テーブルの上部、右肘かけの先端部、つまり位置的にちょうど右手の置く場所にあるので、とても使いやすい。もちろん、座席は完全フラットになり、ベッド代わりに使うことも可能だ。

 9時25分、予定時刻5分前にプッシュバック。A380の巨体が静かに駐機スポットを離れる。エンジン音がまったくしない。本当に音が聞こえないのだ。震動も少ない。滑るように機体が滑走路に向けて移動する。

68398b_4北京空港滑走中

 10時5分、テイクオフ。これも驚くほど静かな離陸だ。今まで経験したことがない。ビューンという躍動感がなく、いつの間にかフワリと浮かぶ感じだった。

68420_2A380搭乗中

 離陸後のドリンクサービスが始まると、注文しておいたジャニソン・バラドン(Janisson Baradon)のシャンパンがサーブされる。シャンパンそのものが悪くないが、きりりと冷えていないし、数え切れるほどの気泡が寂しげに立ち昇っているだけ。まったく色気のないシャンパンだ。

68420_3生ぬるいシャンパン

 続いてサーブされるのがワイン。私が選んだのは、ボルドーの赤、カノン・フロンサックの「シャトー・ブロワ2004年」(Canon-Fronsac Chateau Belloy 2004 Cuvee Prestige)。今度は、赤ワインが何とご親切にしっかり冷やされているのだ。香りが冷気にしっかり抑えつけられているため、まるで葡萄ジュースのような代物だ。

68420b_3国際線同様の立派なメニュー

 中国の現実に引き戻される瞬間。――温かいシャンパンと冷たい赤ワイン。

 食事は中国系キャリアの機内食にしてはまあまあ、悪くない。ビーフ、魚とチキンの3種類からチョイス。私が選んだのは、鱈の四川風チリソース。前菜は海老、ラー油風味ピリ辛鶏肉、胡桃と筍の酢漬け、スープはやや濃厚な鶏スープ、そして、ご飯。食後は、フルーツと国産アイスクリーム。

68420_4ランチ
68420b_4デザートサービス

 昼食を終え、クラシック音楽を楽しみながらリラックスしていると、「まもなく広州空港到着」のアナウンス。

 12時50分、スペシャル・フライト中国南方航空3000便、中国国内1号機の巨大ジャンボA380型機が広州白雲空港の129番ゲートに到着。