原理原則、お好きですか嫌いですか

 私が経営コンサル現場でつねに言っていることは、「原理原則」。原理原則は何かと聞かれて、言葉を濁すような人は決して経営者の器ではない、とまで断言する。

 「これは立花さんご自身の体験談ではないか。立花さんの会社は小規模だから、原理原則でいいかもしれないが、当社は規模が大きいので、一々言ってられるか・・・」
 
 という方もおられる。私は、こう答える。

 「いや、ちゃんと原理原則があるのではないか。あなたがいま言ったこと自体が、現に原理原則ではないか。少なくとも、あなた自身の原理原則になっている。それが貴社の会社の原理原則に一致しているかどうかが問題だ。一致しなければ、あなたの指導のもとで、貴社は決して成功することはない」

 私がいまコンサルティングを引き受けている会社の9割以上が(本社)上場企業で、少なくとも年商数百億円、数千億円、あるいは数兆円の会社ばかりだ。このような企業のウェブサイトを開けば、たいてい経営の理念、原理原則が書かれている。特段の指示がなければ、私はこの本社サイトの原理原則に照らして、コンサル活動を進めるわけだ。

 原理原則は、会社の規模に関係があるのか?私の答えは以下だ。

 小企業は原理原則をもったことで強くなり、大きくなる。大企業は原理原則を捨てたことで、衰退し、滅びる。

 京セラ、資金も信用も実績もない小さな町工場から世界の「Kyocera」に成長した。創業者の稲盛和夫氏(現在日本航空会長)が「心を高める、経営を伸ばす」でこう述べている。

 「常に、原理原則を基準として判断し、行動しなければなりません。・・・かねてから原理原則に基づいた判断をしていれば、どんな局面でも迷うことはありません。原理原則に基づくということは、人間社会の道徳、倫理といわれるものを基準として、人として正しいことを正しいままに貫いていこうということです」

 会社の原理原則とトップ(部門トップも含む)自身の原理原則が、もし、二つ異なるバージョンの原理原則になっていたら、それは大問題だ。必ず経営はうまくいかない。経営コンサルの原点は、原理原則からスタートする。