● なぜ?中国はクラシック音楽市場で日本を凌駕
クラシック音楽市場において、中国が日本を上回る存在感を示している。
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団は2024年11月に来日し東京で2公演を行ったが、同時期に中国では北京と上海で計6公演を実施している。また、2025年から3年間、「バイロイト・イン・上海」が毎年7月に上海大劇院で公演されることが発表された。さらに、デュッセルドルフ交響楽団やザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団なども中国での公演は実施しているが、日本では開催していない。
芸術が商業活動である以上、採算が取れない日本市場を避ける選択は合理的である。日本人の芸術感覚が低いわけではなく、主な要因は市場規模の違いや経済力の低下にある。多くの日本人が高額なクラシックコンサートのチケットを購入する余裕を失いつつあるのだ。
また、日本では現代音楽への偏重が問題として挙げられる。一方で、中国は「現代音楽」のように政治的に利用されやすいジャンルではなく、「無臭無色」で政治的中立性の高いクラシック音楽を重視している。クラシック音楽であれば、ベートーヴェンが墓から蘇り自由民主主義を讃える演説をしたり、中国共産党を批判したりする心配はない。
加えて、中国の富裕層は物質的消費から精神的価値の追求へと移行する段階を迎えている。こうした文化的成熟に加え、中国人演奏家の国際的な活躍が、中国におけるクラシック音楽市場の拡大に寄与しているといえる。

● トヨタの上海新工場建設、ニッチ市場への差別化戦略
トヨタ自動車が中国・上海市に高級車ブランド「レクサス」の新工場を建設する方向で検討している。早ければ2027年ごろの稼働を目指す。レクサスは35年にEVに完全シフトする計画を掲げる。
トヨタが中国でレクサスブランドのEV生産を開始するという決定は、同市場における「ニッチ市場の攻略」というマーケティング戦略の視点で理解できる。特に中国の高級車EV市場は、現在の全体EV市場の中で相対的に小規模ではあるが、極めて重要な成長ポテンシャルを秘めたセグメントである。
まず、中国における高級車EV市場は、富裕層や新興中間層の上位層を主要ターゲットとする。この層は、単なる移動手段としてではなく、ステータスやブランド価値を重視して車を選ぶ傾向がある。トヨタはレクサスブランドの高い信頼性やプレミアムなイメージを活用し、この層に対して「高級感」と「先進技術」を融合させたEVを提供することで差別化を図ることが可能である。
次に、中国のEV市場全体では、BYDやテスラがシェアを握っているが、これらの企業は比較的大衆的なモデルや中価格帯の製品に注力している。一方、高級車EV市場はまだ成熟しておらず、競争が激化する段階に至っていない。トヨタは、この競争が比較的緩やかな段階で市場に参入することで、プレミアムEVブランドとしての地位を早期に確立することを目指している。特に、レクサスの「ラグジュアリー+環境配慮」というブランドコンセプトは、中国市場における他ブランドと明確な差別化要素となり得る。
また、中国市場に特化したローカライズ戦略を展開することが考えられる。例えば、中国の大都市におけるインフラや消費者ニーズを考慮した充電ソリューションや専用サービスを提供することで、地域特有の課題に応えることができる。この点はグローバルブランドであっても対応の遅れているケースが多いため、競争優位性を高める鍵となる。
中国政府のEV推進政策と、都市部富裕層の「環境配慮」や「テクノロジー志向」の価値観は合致しており、トヨタにとってこのセグメントは中長期的な成長が期待できる市場である。特に中国市場では「贅沢品としてのEV」という位置付けが重要であり、トヨタはこの文脈でレクサスを高級車市場の象徴としてポジショニングすることが可能になろう。
● 石破政権はもしや長期安定政権
「中国に行くことは極めて大事だ」。石破首相は訪中に意欲的だ。それを見て、似非右派保守がまたしても「親中」だと批判する。しかし、親中であることによって相手が親日となり、それが利益につながるのであれば、何が問題だろうか?
一方で、親米の場合はどうだろうか。相手が親日になり、利益を引き出せているのか。戦後日本の高度成長を阻害したのは中国ではなくアメリカだ。プラザ合意で日本経済が潰されたにもかかわらず、いまだにアメリカの飼い犬の立場に甘んじているのは、自虐を通り越した状態だ。通常、飼い犬は主人から餌をもらえるものだが、日本の場合、ドッグフード代まで払わされているのである。
日本は小国だ。そのため、大国の間で「揺れる」姿勢が必要だ。どちらか一方に極端に依存するのは愚かである。これこそが自立の極意だ。この点を石破氏はよく理解している。
「石破政権は予想外の長期安定政権になるかもしれない」――石破氏が当選した当時、私はそう予想した。もちろん、私の希望的観測も含まれていた。しかし、徐々に現実味を帯びてきているようだ。当時、私は「どのポストであれ、高市氏は蹴るべきではない。とにかく入閣を最優先すべきだ」と投稿した。
しかし残念なことに、「どうせ石破は短命政権だから」という麻生氏のアドバイスを聞き、高市氏は「固辞」してしまった。高市氏には限界がある。運が悪いだけではない。彼女は似非右派保守のスターであり、スターの域を超えられない。統治の知恵も国益に対する敏感さも欠けている。そもそも安倍晋三氏もスターだった。彼らの集団は、まるで芸能プロダクションのようだ。
それに対し、石破氏は「見せ方」が最悪で、芸能政治家には程遠い存在だ。だからこそ、私は彼が好きだ。




