ムスリムだって犬好きがいる、マレー社会の画期的な変化か

 マレー系市民の呼びかけで、「犬怖くない、ムスリムも愛犬運動」が発足され、先日スランゴール州で「犬ふれあい会」が行われた。誠に微笑ましい。

141021-0922-Mandarin Grill2014年10月20日付マレーシア「南洋商報」

 うちのワンちゃんたちも時々散歩中に好意的に近寄ってくるマレー系の人がいたりする。「可愛いね」となでなでするまでいかなくともかなり好意的だったことは分かる。すべてのマレー人が犬嫌いというわけではない。

 イスラム教の教義では、ムスリムと犬の対立を煽ったり、あるいは犬に対するいじめや加害を指導するようなものは皆無である。逆に、犬も含むすべての生物への愛護やケアを呼びかけるのがイスラム教であり、これに従ってムスリムにとって犬は敵視されるべきではない存在である。また火事などの緊急時にムスリムによる犬の救助もまったく問題とされていない。さらに、愛玩以外の業務上目的(例:農園の警備など)であれば、ムスリムも犬の飼育を認められているのである。

 唯一の問題は、犬の毛や唾液が不潔ということで、ムスリムは犬に接触したあと、セルトゥ(Sertu洗浄)を行うことが必要だ――。まず石鹸で手などの接触部位をよく洗い、さらに水で6回濯ぎ、7回目は再度石鹸やパウダーで洗浄する。ただ、私がトルコを訪問したとき、マレーシアでの犬の話をするとトルコ人が大いに驚き、同じムスリムのトルコでは犬を飼うことは基本的に問題視されることはないという。もちろん、セルトゥも存在しないだろう。同じイスラム教も国によって教義の解釈や運用が大きく異なるようだ。

 マレーシアのムスリム社会における犬の市民権の段階的獲得と地位向上を期待している。