2026年2月21日午後4時35分、我が家の次男ハチは、14年と199日の生涯を閉じ、虹の橋へ旅立った。
ここ数か月で、ハチは食欲と意識の明瞭さを保ちながらも、後肢の筋力低下と関節機能の急速な衰えにより、立ち上がりと歩行が顕著に困難となる転換期に入っていた。それでも弱みを見せず、いつも自分の足で立ち、自分のペースで生きた。

懸命に立ち上がろうとして姿勢を崩し、何度もやり直す。そのたびに、そっと手を添えた。嫌がりもせず、かといって甘えるわけでもなく、ただ静かに介助を受けていた。その背中に、年齢を感じていた。
昨日、友人が訪ねてきた。ほんの少し目を離した隙に、ハチはプールに落ちていた。一瞬の出来事だった。20分以上、人工呼吸と心臓マッサージを続けた。それでも、ハチは戻らなかった。

友人は言った。落水の直前、ハチはプールサイドをゆっくり歩き、何かを考え込むように、しばらくそこに立っていた、と。ハチは水が嫌いだった。プールを囲む5センチのタイル縁に、一度も上ったことがなかった。なぜ昨日だけ、あの段差を越えたのか。わからない。今もわからない。
衰えていく自分の姿を、これ以上見せたくなかったのだろうか。痛みを、もう十分に抱えていたのだろうか。誇り高い柴犬として、自分で最後を決めたのだろうか。それとも、ただの事故だったのか。真実は、ハチだけが知っている。
14年7か月、ありがとう。いつも我が家の次男として、そこにいてくれた。どうか、もう痛くない場所で、好きなように、自由に。
ハチ、また会おう。
<次回>




