「マレーシア移住は5000万円から」――甘い勧誘に水を差す、あえての現実論

 私はFacebookで約3,500人が参加する「マレーシア移住の会」を主宰している。日々さまざまな相談が寄せられるが、正直に言えば、世の中には甘い話が多すぎる。私は勧誘側ではない。移住を成立させて手数料を得る立場でもない。だからこそ、水をかける役を引き受ける。

 結論は単純だ。金融資産5,000万円以上を一つの実行ラインと見るべきだ。

● 5,000万円以上 ― 実行圏
 初期投資1,000万円前後(ビザ関連費用、拘束預金、住宅立ち上げ、車両、教育、引越等)を支出しても資産の2割程度。残り4,000万円を年3%で運用すれば年間120万円。生活費の一部を補完できる。為替変動、医療費急増、制度変更による再移動コストにも耐えやすい。この水準で初めて「選択としての移住」になる。

● 3,000万〜5,000万円 ― 警戒圏
 初期費用が資産の20〜30%を削る。残資産は2,000〜4,000万円。無収入前提なら耐久年数は限定的だ。10年以上の滞在覚悟か、現地収入源を持てるかで成否が分かれる。短期前提なら合理性は薄い。

● 3,000万円未満 ― 原則断念圏
 初期投資比率が高すぎる。生活費差額で回収するには長期滞在が必要だが、その間の制度変更リスクや健康リスクに耐えにくい。これは戦略ではなく、資産を賭ける行為になる。

● なぜここまで言うのか
 移住仲介業者は移住が成立して初めて収益になる構造だ。だから「夢」は語られるが、「回収年数」は語られにくい。私はそこを補完する立場にある。水をかけると言われても構わない。

 移住は「安い国への引っ越し」ではない。それは「資本の再配置」だ。5,000万円は自慢の基準ではない。耐久の基準だ。冷静に数字を見て、それでも来るなら歓迎する。夢を見るのは自由だ。だが、計算できる者だけが長く残る。

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