イスラム市場のアプローチ、中国での失敗を繰り返すな

 来週は日本出張。幕張メッセで開催される「ジャパン・ハラール・エキスポ 2014」の視察が主目的。

 大型総合ハラール関係のイベントとしては、日本初。昨年から静かなブームになっていたハラールビジネスはいよいよ本格的な盛り上がりを見せ始めた。それにしても中国に比べると、イスラム市場は日本人や日本企業にとってまだまだ身近な存在とは言えない。イスラムといえば即座に「テロリスト」や「怖い」と反応する人も少なくない。

 何を隠そう、私が移住先を検討していた段階で、マレーシアがイスラム国家であることをマイナス要素として捉えていた時期もあって、恥ずかしい限りである。

 こちらに住み始めると、マレーシアやインドネシアの日系企業からムスリム従業員の労務問題や人材育成などの課題を提起され、いろいろ勉強のチャンスを与えられたのである。また昨今のハラールブームもあって、いつの間にかイスラムと向き合って本格的な勉強に取り組み始める自分がそこにあった。

 ハラールブーム。どこか、初期の中国ブームと重なって見えた瞬間に鳥肌が立つ――。ハラール認証機関が乱立し、ハラールビジネスよりもハラール認証ビジネスの全盛期に突入した。ハラールという入場券を入手さえすればイスラム市場を制することができる、このような錯覚に取り憑かれた日本企業はまたもや横並び的なアプローチを取ろうとしていないか。

 基礎研究や論理的検証の不足が日本企業の通病。イスラムとは何か。ムスリムとは何か。それから何よりも大切なのは、ムスリムから見た日本や日本ブランドとは何かである。

 ハラール認証があれば売れるわけではない。ハラール認証がなければ売れないわけでもない。ハラールというのは、個々のムスリムの心の中にある。ならば、ムスリムの心を知ることが第一歩ではないだろうか。