垂れ流し民放バラエティの「功績」、異国の地の「日本らしさ」

 日本の民放バラエティが垂れ流し。最近中国の和食屋や居酒屋では、日常的な風景になっている。

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 どちらかというと、「日本らしさ」の演出に欠かせない素材として使われ、なかに中国人オーナーの店ではこの現象が特に顕著のようだ。

 個人的には、このような「日本らしさ」には、「ノーサンキュー」と言いたい。上海の某居酒屋で、やや大音量で垂れ流し中の民放バラエティに眉を顰める欧米人客を目の当たりにして、私は穴があったら入りたいほど恥ずかしい思いだった。

 「それは、本当の日本じゃないよ」と、弁明したかった。だが、紛れもなくこれは日本の放送番組だ。歴然たる事実は否定しようがない。そこが悔しい。

 いや、でも目線を変えると、バラエティ番組の功績が大きい。戦後日本のB層の形成に多大な貢献をした、その歴史的功績は否定できまい。

 何も考えない。力まない。受け止めたままに笑って、ただただ番組の流れに身を任せる。放心状態に陥るときの、あの自然で甘美な満足感を合法的な麻薬から得られる。その麻薬は民放のバラエティ番組だ。