「百万本のバラ」の笑えない爆笑中国版

 もうすぐ、バレンタインデーですね。日本なら(女→男)義理チョコですが、中国は(男→女)本命バラ。バラといえば、「百万本のバラ」という歌を、みなさんご存じでしょうか?ロシア歌謡として加藤登紀子さんが歌った「百万本のバラ」は、グルジアの天才画家ニコ・ピロスマニ(Niko Pirosmani)がモデルとなっている実話だそうです。

     小さな家とキャンバス 他にはなにもない
     貧しい絵描きが 女優に恋をした
     大好きなあの人に バラの花をあげたい
     ある日街中の バラを買いました
     百万本のバラの花を 
     あなたに あなたに あなたにあげる
     窓から 窓から 見える広場を
     真っ赤なバラで うめつくして・・・・・
     ある朝彼女は 真っ赤なバラの海を見て
     どこかのお金持ちが ふざけたのだと思った
     小さな家とキャンバス すべてを売ってバラの花
     買った貧しい 絵描きは
     窓の下で彼女をみてた
     百万本のバラの花を
     あなたは あなたは あなたは見てる
     窓から 窓から 見える広場は
     真っ赤な 真っ赤な バラの海・・・・・・
     出会いはそれで終わり 女優は別の街へ
     真っ赤なバラの海は はなやかな彼女の人生
     貧しい絵描きは 孤独な日々を送った
     けれど バラの思い出は 心に消えなかった
     百万本のバラの花を
     あなたに あなたに あなたにあげる
     窓から 窓から 見える広場を
     真っ赤なバラでうめつくして・・・・・
     百万本のバラの花を
     あなたに あなたに あなたにあげる
     窓から 窓から 見える広場を
     真っ赤なバラでうめつくして・・・・・

<立花が付けた結尾>
 後ほど、この「百万本のバラ」がヒット曲になって、女優が曲を聴いて「あれは、あのときのことだったのか」と心打たれ、必死で画家を探し出して、二人がめでたく結ばれた。

 私は、中国での人事研修で、この歌のストーリーに勝手に上記の結末を付けて、中国人受講生のコメントを求めることにしています。すると、以下のようなコメントが寄せられました。

 【Aさん】: 「百万本のバラって、いくら?一本5元で、百万本なら割引で一本3元で計算しても、300万元、はっ、300万元?豪華マンション買えるよ、マンション買って、プロポーズした方が確実だしね、何考えてるんだ、芸術家ってちょっと頭がおかしいね」。
 【Bさん】: 「Aさん、あなたは馬鹿ね。考えてみろ、ヒット曲になったんですよ。ギャラは300万元超えているだろう、著作権とかもあるんじゃないですか、300万元マンションの小金持ちでは女優が来ませんよ。ヒット曲になって、社会的地位を手に入れたから、女優と結婚できたわけですよ。これは、門当戸対(家格が釣り合っている)というんです」。
 【Cさん】: 「私は、Bさんの意見に賛成です。でも、確かに画家の戦略的長期投資が凄い。迫力はありますが、リスクもかなりありますね。普通の人は踏み切れないね、画家、芸術家の感覚はやっぱり違いますね」。
 【Dさん】: (ず~と、黙っていて、やっと切り出す)「あのですね、あなた達が考えていることは全部違うと思います。画家は、そんな戦略的意図なんか持っていません。彼は、自分の愛情をバラという形で表現して、それで芸術家としての満足感を得たのです。彼にとって、その満足感が300万元以上の価値があったんでしょう」

 「バラ」を、中国語検索エンジンにかけてみました。

 「バレンタインデーに、せっかく準備したバラの花を彼女に捧げると、怒られた。こんな高い物買うのがもったいない、浪費だと!」
・・・アッヤー、まだ結婚前というのに、もう財布が握られたのか!失礼失礼、言い方が悪い。しっかりした奥さんになるんですね。

 「バレンタインデー前日と当日、バラの相場が急騰する。一週間前に買っておくことをお勧めします。花瓶に入れて水やれば一週間はぎりぎり持ちます」。
・・・なるほど、天才だ。ノーベル経済学賞にノミネートしたい。

 「中国版「価格ドットコム」、各花市場、フラワーショップのバラ価格を瞬間に比較できる」。
 ・・・凄い、さすがインターネット大国。さて、高いバラにする?安いバラにする?愛情は価格に比例するのかしら?

 「新発売、開運金箔・金縁(18K)付き花びらの金バラが登場」
・・・これはもっと凄い。「花が枯れても、金(キン)は枯れない」。さて、「金(カネ)が枯れた日は、愛情は枯れるのか?????」 そんな難しいこと言わんでくれ。まず、彼女をゲットすることが第一!

 結論はありました。

 芸術家が言う。―― バラは、愛のメッセージだ。
 経済学者が言う。―― バラは、価値の表現だ。
 生物学者が言う。―― バラは、交尾繁殖のための誘惑ツールだ。
 弁護士が言う。―― バラは、贈る人の「権利」?それとも「義務」?裁判官閣下、どっち?
 裁判官が言う。―― バラは、贈る人と贈られる人の約定によって、「権利」か「義務」が決まる。
 立花聡が言う。―― バラはバラだ。人間はバラバラで、考えもバラバラだ。バラバラだった人間はバラで結ばれれば素晴らしいバラだ。そうだ、コンサルタントもバラのようなものだ!

 では、メリー・バレンタインデー!情人節快楽!

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