グリーンランド(3)~グリーンランド在住日本人に奇遇

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 北極圏のグリーンランドには、たった3人の日本人が住んでいる。私が偶然の機会で、そのうちの1人に出会った。

 イルリサットの街で昼食を取ろうと入ったレストラン「イヌイット・カフェ(Inuit Cafe)」。笑顔で迎えてくれたのはなんと日本人だった。まったく予想もしなかった出来事、思わず記念写真の撮影を求めた。

 ヨウコさんはデンマーク本土住まいだったが、数年前からグリーンランドに移住し、いまはイルリサットの街で働き、暮らしている。それにしてもグリーンランドにやってくる日本人旅行者、特に個人旅行者もまた珍しく、ヨウコさんも驚いた。

 日本人客とわかると、すぐに鯨料理を薦められた。鯨ステーキにご飯を添えてくれるのがあり難い。もうパン食の連続で、ご飯への恋しさが募るところだった。鯨肉の味もまた素晴らしく、ソースをご飯にかけて頬張った。

 グリーンランドのローカルビールも珍しい。昼というのに、2本もあっという間に空けてしまった。

 グリーンランドを訪れた日本人旅行者は年間僅か400名未満。デンマーク政府の統計によれば、2014年には393人だったという。日本ではグリーンランドの知名度が低いうえ、飛行時間が長く、旅費もかさむなどの阻害要因が挙げられている。

 ヨウコさんによると、最近日本のTV番組がグリーンランドの題材を取り上げ始め、彼女自身も現地で取材の協力を引き受けていた。さらに、大手旅行会社も宣伝を拡大したところ、日本人旅行客数が少しずつ増えるようになったという。

 それでも、ツアー客がほとんどで、私のような個人旅行者は年間数十名いるかいないかの状態だった。

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