<上海>日本料理炉端焼・北彩、素材ならここが一番

 上海の日本料理店では、食べ放題や飲み放題が氾濫しています。私は、食べ放題系に行くのが年にせいぜい1回か2回程度です。原則、非食べ放題店しか行きません。「食べ放題」が日本料理の代名詞になっているのが、誠に悲しいことです。これが現地化だとすれば、日本の食文化に対する甚だしい歪曲です。

 考えてみてください。150元くらいの食べ放題で、店のコストを引いて逆算すると、まともな食材を使えば、採算割れで店が潰れてしまう。食べ放題の店に、素材などを求めること自身がナンセンスです。

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 手頃な値段で食材を楽しめる店といえば、まずこの「北彩」です。いまの「北彩」は一回移転しています。移転前の「北彩」は、料理人からサービススタッフまでほとんど日本人でしたが、今はかなり現地化して、中国人ばかりです。しかし、味は基本的に落ちていません。オーナーの浅野さんが店中を見回って、品質管理に精を出しています。ありがとうございます。

 店の場所が悪い。延安路沿いですが、派手な看板もなく、暗いスポットライトしか付いていません。初回行くとき探すのが苦労するかもしれません。駐停車も大変です。でも、それで良いのです。なぜか世の中、美味しい店はみんな分かりにくいところにあるのか。探すのに苦労する分、期待感が高揚するので、たまりません。

 店に一歩踏み入れると、凄い熱気が伝わってきます。今日もほぼ満席状態。カウンター席越しにオープンキッチンがあり、料理人の仕事ぶりを目で楽しむことができます。カウンターの一部がショーケース代わりに、氷が敷き詰められ、当日の魚が並べられています。北海道辺りの店ほどの豪快さに欠けますが、とりあえず視覚で食欲が駆り立てられます。

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 私の場合は、まず、刺身から行きます。盛り合わせでもよく、好み又は当日のフレッシュだけでも良い。お酒は、やはり辛口の「出羽桜」。お酒がまだ残っている間に、「あん肝」や「塩辛」といった珍味もちびちび。さらに、グリーン系がほしくなって、「蚕豆」を注文。季節はずれですが、なぜか甘みがあって、非常に旨い。いよいよ、日本酒二合空けると、第一ラウンド終了。

 第二ラウンドは、魚です。今度、日本酒から焼酎に切り替えます。今日は、北海道を味わいたくて、しそ焼酎の鍛高譚(たんたかたん)ボトルを注文。料理は、もちろん焼き。お勧めの太刀魚でシンプルな塩焼きにしました。焼き台のおばさんのシャイな笑顔がとても可愛い。一生懸命焼いてくれた太刀魚は、分厚い身ホクホクして頬張ると、幸せ一杯になります。

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 第三ラウンドは、肉です。これもまた焼きです。レバー、つくねと豚とろに、野菜はしし唐。うん~、どちらかというと、「北彩」はやっぱり魚の店です。肉系はまずくありませんが、魚に比べると、遜色を感じさせます。でも、とりあえず、合格点。

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 いよいよ、第四ラウンドの締めくくり、今日は、焼きおにぎりとアサリ汁。なかなか香ばしく焼けていて満足でした。

 私は、かなりの大食いなので、目の前にいろんな食材が並べられると、ついつい誘惑に負けてしまいます。帰宅すると、東京から送ってきた人間ドッグの結果が待っていると思うと、気が重い。