MM2H保有者はマレーシアでビジネスができるのか?

 MM2Hビザの保有者はマレーシアで就労やビジネスができるのかという問題に、MM2H管轄当局からは以下の見解が示されている。

「The MM2H Pass is a Social Visit Pass and allows MM2H participant to long-stay in Malaysia. If MM2H participant intends to do business, he/she would need to terminate the MM2H Pass. MM2H participant who is interested to invest in Malaysia can contact the Malaysia Industrial Development Authority.」

 なるほど読んでみると、「Do business」と「Invest」が区別されているところが面白いと思った。「Do business」というのは法律用語ではなく、解釈がかなり多義化されがちだ。そこで、「Invest」という除外要件が課されると、状況が見えてくる。要するに「Invest」以外はすべて「Do business」になる。

 少し厳格な法律用語で表現すると、「投資以外の、就労・役務提供等を含む営利目的の商業活動を一切禁止する」となるだろう。所得を性質的に源泉分類すると、「資本所得」「労働所得」という2つの形態になるが、MM2H保有者には前者が認められるが、後者は認められないと認識すべきだろう。

 いわゆるMM2H次元の「Invest」とは、資本を投下したところで、費用として給与・報酬(含む役員報酬)ではなく、資本の増殖によって生まれる利益(配当)を受け取るプロセスを指している。言ってみれば、マルクスが描いた「資本家」のイメージがぴったり当てはまる。資本を投じて、労働者を雇用し、その労働者に「Do business」をさせる。当の本人は資本家であって、自ら「Do business」ではなく、「Get someone done business」という形を取る。

 雇用された労働者が「Do business」(対外的なプロフィットセンター)する。ただし、雇用された労働者を管理監督する必要があって、それが「Management」(対内的なコストセンター)にあたる。労働者の管理監督にあたっての「労働」は容認されるだろう。

 管理監督という「労働」から生まれるのは、賃金給料ではなく、配当である。これで解釈すれば、筋が通る。

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