いろんなChinese、漢字名称の使い分け

 マレーシアに住んで8か月以上経った。あること、ようやく改善された。マレーシア現地の中華系の方には、「華人」と呼ぶこと。

 中国上がりのわれわれはどうしても、「中国」という言葉に慣れている。ついつい、「中国人」や「中国系」と口を滑らせると、大抵のことあまり良い顔をしてくれない。その場で訂正してくれる人もいる――。

 「中国人ではない。華人です」

 英語では同じ「Chinese」でも、漢字になると表現が変わる。そういえば、台湾では本土の中国人のことを、「大陸人」と呼ぶ。香港の場合、「大陸人」と「内地人」という二つの呼び方がある。

 「内地」というのが面白い。「内地人」の対義語は「外地人」。本土中国人が「内地人」であれば、香港人は「外地人」になる。実は、その「外地人」は中国では場合によって「田舎者」という軽蔑色を帯びて使われているのである。香港人は自ら「田舎者」と呼ばれたいのかと、私が不思議に思ってある香港人に聞くと、こう答えてくれた。――「内地の対義は、海外でしょう」

 なるほど、思わず納得。こういう理解か。それに比べて、日本人は単純でわかりやすい。海外の日本人も日本人で、せいぜい「邦人」や最近流行りの「和僑」くらいで済む。