ブログ・ランキングの面白発見、アクセス数と上下位の異なる意味

 私は、ブログの運営仕組みにまったく無知でした。お客様や友人に勧められて、2ヶ月ほど前からブログを始めました。コンサルタントという仕事柄、何でも掘り下げてしまう習性があります。すると、色々といじくっているうちに、面白い発見がありましたので、皆さんと共有したいと思います。

 まず、ブログをやる以上、やはり、アクセス数が物凄く気になることが分かりました。エクスプロアさんのブログは、毎日日本時間0時、中国時間23時に、アクセス数上位ブログのページビューの発表があります。とても、気になります。その時間になると、パソコンの近くに居れば、必ず目を皿にして、チェックします。妻によく笑われます、「良い年して、こんなのどうでも良いじゃないか!」

 といわれても、気になることは、気になる。やはり、自分の成果を人に認めてもらいたい気持ちは、誰でも持っているのですね。

 そこで、私は、三つのブログ・ランキングに参加しました。「ブログ・ランキング」といえば、「どのブログが面白いか」を評価し、番付する場所だと、私が認識していました。

 また、妻に馬鹿にされる、「あなたがビジネス物しか書かないでしょう、あんな堅苦しいものは、ランキング上がらないって、ブログは、ソフト系で面白い物を書かないと・・・」

 なるほど、あれ以来、一生懸命ソフト系を書き出しました。でも、あまり、うまく行かない。最近始まったばっかりのエクスプロアさんの「ブログ・ランキング」の仕組みは、まだ把握していないのですが、ほかに参加した二つのランキング・サイトのメカニズムは、だんだん分かるようになった気がします。

 ブログ・ランキングに参加したてのときは、物凄く下位にあるのが当然です。すると、スタートして数日のうち、毎日物凄い勢いで、急上昇します。ある程度まで登り詰めたら、しばらく横ばいの水平推移になる。さらに、しばらく時間が立つと、じわじわと順位が下がり始める。あれあれ、私のブログの品質が下がっているんですね、改善しないといけないなあと思いきや、よく確認すると、自分のブログのアクセス数は、順調に伸びているのではないか・・・

 不思議に思いました。

 そこで、「ブログ・ランキング」の仕組みを調べてみました。大体以下の仕組みです。

 ① ブログ・ランキングへの参加ブログは、ランキング・バナーをもらい、そのバナーを自分のブログに貼り付ける。

 ② 読者が、参加ブログに張られたランキング・バナーをクリックして、ランキング・サイトへアクセスすると、「IN」ポイントがカウントされる ( 参加ブログ⇒ランキング・サイト )。

 ③ 反対に、読者が、ランキング・サイトから参加ブログへアクセスすると、今度「OUT」ポイントがカウントされる ( ランキング・サイト⇒参加ブログ )。

 ★ここが、重要です。「IN」と「OUT」の対象は、参加ブログではなく、ランキング・サイトに対してなのです。

 ④ さて、いよいよ、ランキング、番付です。一番、重要なのは、何を番付の指標にするかです。ブログ・ランキングのランキング指標は、「OUT」ではなく、「IN」です。「IN」で、順位、番付が決まります。

 つまり、参加ブログは、ランキング・サイトにどのくらいのアクセス数( 参加ブログ⇒ランキング・サイト )を誘致するかで、貢献度を評価され、ランキングされるわけです。もっと、明白に言い換えると、「ブログ・ランキング」は、「ランキング・サイトへのアクセス誘致競争ランキング」、あるいは、「ランキング・サイトへの貢献度ランキング」なのです。

 これは、当たり前です。ブログ・ランキングサイトは、ただでは、運営できません、どこか収益源がないと困ります。そこで、アクセス数です。アクセス数は、読者の集まり度の指標ですから、ランキング・サイトの広告料、ランキング・サイト自身のバリューもそれで決まってきます。インターネット・ビジネスの世界では、「アクセス数」がある意味で、すべてです。アクセス数で、ナスダックに上場できるのです。これは、ビジネス・モデルです。

 そこで、結論その1、「ブログ・ランキング」は、肝心な参加ブログに対しての読者評価の総括ではなく、参加ブログによる、「ランキング・サイトへのアクセス誘致競争・貢献度ランキング」であることが、分かりました。

 次、参加ブログ(ブロガー)側のことを考えてみましょう。少なくとも私自身がそうですが、自分のアクセス数がとても気になるブロガーがたくさんいるのではないでしょうか。この人たちは、とにかく「ブログ・ランキング」で順位を上げようと努力します。順位は、自分の努力に対する読者の評価だと考えているのでしょう。また、上位に入れば入るほど、注目されますので、必死です。

 すると、ブロガーの順位上昇、番付上昇志望が、見事に、ランキング・サイトに利用されたといってよいでしょう。日本国内大手ランキング・サイトの上位参加ブログを見ると、広告だらけだったりするのも珍しくありません。ブロガーが広告塔になっているのです。繰り返します、決して、非難ではありません。ビジネス・モデルとして成り立っているのは、市場の認知ですから、むしろ、大いに評価すべきところです。

 結論その2、ブロガー側にとってみれば、冷静な気持ちでランキングを見つめ、吟味する必要があるということです。ランキングは、決して自分の運営ブログに対する絶対的評価基準ではないことを、十分に理解すべきでしょう。特に、「読者の目線」という意味では、ブログ・ランキングの「ランキング」を過剰に捉えるべきではないでしょう。

 最後に、読者のことです。読者は、「IN」「OUT」関連の上記結論その1を知っているかどうかは分かりませんが、たとえば、「順位1~300」があるとすれば、物理的に、アクセスしやすい上位ブログをクリックしてしまうことが多いのではないでしょうか。すると、「上位1~50」とかがアクセスされる頻度と確率が格段と上がります。アクセスされやすさから、上位が常に上位を維持する可能性も出てきます。下位ブログは、常に日当たりの悪いところに取り残されてしまいます。

 これは、社会現象にも共通しています。日本でも、貧富の格差が一向に縮小することなく、逆に拡大する傾向にさえあるように、「ランキング・サイト」という政府与党が、常に貢献度の大きい上位ブログから大きな政治献金(アクセス数)をもらって、政権を維持しているのと同じではないでしょうか。重要なことは、政府与党が、ゲームルールを決める絶大な権力をもっていることです。そのルールは、「IN」であって、「OUT」ではないということです。

 私は、複数のランキング・サイトで、下位グループのブログを拝見するようにしています。個人的な好みもありますが、中に、質的には、決して上位ブログに勝るとも劣らないような良質なものもたくさんあることに気付きます。ブロガーの都合で、宣伝が下手だったり、更新頻度が低かったりして、ランキングを下げてしまって、注目されなくなると、さらにやる気を無くしてしまう、というようなケースが多いのではないでしょうか。

 結論その3、読者にとって、面白い情報、自分に役に立つ情報を入手したいから、ブログを見ます。さて、読者にとっては、ブロガーの自己成功体験も、ランキング・サイトのアクセス数も、どうでも良いのです。読者は、あくまでも本物の「読者のためのブログ・ランキング」を求めているのではないでしょうか。

 企業の人事労務現場でも同じです。会社には会社の立場、上司には上司の立場、部下には部下の立場、また、お客様にはお客様の立場があります。こういった錯綜複雑な利害関係のなか、互いに最良な結果、利益の最大化を模索するのが、私たち人事コンサルタントの仕事です。