手の内を明かす

 休暇明けの仕事、冒頭一番は、来週金曜日(6月19日)の人事労務制度セミナーですが、事務局の報告を見ると、定員40名超過満員、増設対応して今60名近くになっています(これ以上になると、後部座席は、パワーポイントを見づらくなります)。収容できないので、再来週月曜日の22日、追加開催にしました。それも30名を超え、あと数名ですべて埋まることになります。

 出席者名簿に目を落とすと、日経新聞一面を飾る大企業の名がずらっと並んでいるのはもとより、大手シンクタンクや行政関連も目立ちます。

 半日の一般参加が1200元のセミナーで、100名近く集客できるのは、在中日系企業のなかでもかなり少ないと思います。私に大きな信頼を寄せてくれた皆さんに、心から感謝します。

 私のセミナーは、「手の内を明かてくれる」ということで好評を得ている側面も否定できません。が、コンサルタントは手の内を明かしたら、どうやって飯を食うのか?それも簡単です。次から次へと新たな「手の内」を作り出すことです。それができなければ、当然飯を食えなくなります。人間は怠け者です。「手の内」を残したりすると、勉強を怠ってしまいますし、「手の内」もどんどん陳腐化していきます。結果的に顧客企業が損をします。だから、私の場合は、自ら「手の内」を明かし、逃げ道を断ちます。それだけ、どんどん新しい「手の内」を作り出す自信はありますし、現にどんどん作り出しているのです。

 「手の内」を明かしたことによって、コンサルティングの受注は影響を受けないかというと、受けます。1回か2回のセミナーで私の現状の「手の内」で、即に役に立った会社もいますし、他の顧問弁護士やコンサルタントの意見を確認しに、セカンドオピニオン的に、私のセミナーに出席する企業もいます。いずれにしてお客様企業の問題解決になれば、非常に良いことです。

 2回のセミナー、合計8時間の講演で、10万元超を売り上げるエリス・コンサルティングの秘訣は、やはり役に立つ情報、意見とコンサルタントの「手の内を明かす」ことだと思います。出版社と著書出版の話をするときも、出版社に聞かれました。「コンサルタントの先生は、通常手の内をなかなか本で明かしませんが、立花先生はどのようなスタンスでしょうか」。私は、即答しました。「私は、本を餌にしません。手の内を明かします。その代わりに、本を高く売ってください」。

 一方では、次なる、新たな「手の内」を知れば知るほど必要性を認め、案件を依頼してくる顧客企業が増えています。長期的中国戦略視野に立った日系企業ばかりです。このような優良企業と一緒にロングタームでサクセス・ストーリーを作っていくのが当社の理念であって、私の夢でもあります。現にすでに成功事例が次から次へと出来上がっています。

 私は、同業者のコンサルティング会社や弁護士事務所の無料セミナーへの参加を断られたことが何度もありました。ある日本人弁護士先生に、「立花さんが会場にいると、しゃべりにくくて、すみませんが、出席をご遠慮ください」と言われました。私は、他社主催のセミナーで、納得しない内容についてとことん問い詰めます。それが一部の先生や主催企業に都合が悪いようです。ごめんなさい・・・

 当社エリス・コンサルティングのセミナーに関しては、政策動向など非公開情報の通報ブリーフィングを除いて、すべての企業に開放し、競合他社の参加も容認します。むしろ、私が間違ったことをセミナーで言ったらどんどん指摘してほしい。間違っていたら、私は直ちに謝り、訂正をします。人間は間違える動物ですが、間違いを訂正できる動物でもあります。

 というわけで、情報が氾濫し、無料化する昨今、私は、「役に立つ情報や意見は有料である」に固執し、譲りません。それに賛同する企業が大多数で、また増えていることを嬉しく思っていますし、何よりも、エリス・コンサルティングと私に多大な信頼を寄せてくれた皆さんに、心から感謝します。