お金をどう分けるかのコンサルティング

 昨日の顧客相談は、企業年金スキームの設計です。

 企業年金のことで、最近顧客からの問い合わせが増えてきています。日系企業でも、中国進出して数年ないし十数年、確実に利益を伸ばしている「勝ち組」も出ています。成果を中国国内でプールしている分、従業員に還元していこうということは、大変素晴らしい。じゃ、どうするか、「金一封」で無差別に与えてもよいが、「配分の根拠とルールを決めるべきではないか」と、深層を考えている昨日の日系企業の問題意識に感心します。

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 従業員の貢献度はまちまちです。無差別の評価と福利配分で、必ず「超過評価組」と「不足評価組」が現れます。そこで、私が一番着目しているのは、「不足評価組」です。「超過評価組」の存在は、一生懸命、たくさん貢献した人たちにとって不公平ではないでしょうか。人間は常に隣の人と比べますよね。

 「結果の公平」は、一見公平そうに見えても、実はそうではない。適正評価、適正配分のスキームは欠かせません。企業年金を長期的なベネフィットとして位置づけしながらも、中短期的な業績効果・配分スキームにリンクしないとバランスが取れません。

 日本本社の制度、スキームはそのまま中国に導入すると、文化や国民性、価値観、慣習の相違で必ずかみ合わない部分が生じます。そこで、アレルギーを起こすときもあります。福利制度など、せっかくの「善」が、不適宜な処理で、逆効果をもたらすこともあります。そこまで考えている企業と一緒に仕事できることは、私は幸せだと思っています。

 富を創るよりも、配分することははるかに難しいのです。いまの中国はまさにここまで来ているのではないか・・・。