最近、読んだ経済評論家・勝間和代氏の「人生戦略の立て方…日本人は「時間貧乏」」に、こう書いてある。
「日本人の多くは会議や打ち合わせにやたらと出席をしますが、会議で実際に発言をする人の割合は、同規模・同業種の欧米企業に比べて、きわめて少ない。私が企業や自治体の講演を引き受けた場合でも、「とりあえず、ごあいさつにうかがいます」といわれることが多く、困惑してしまいます。すでに引き受けているのですから、打ち合わせであれば担当者レベルでメールまたは電話で行えば、十分だからです。いま、エコロジーということで、地球上のさまざまな資源の浪費を戒め、なるべく節約をして使おうという考え方が主流になってきました」
私も昔、勝間氏と同じ考え方だったが、ここ2~3年少し、違う視点から考えるようになった。確かに、経済学の観点からいえば、まさにその通りだ。「対面の機能」とは何か?昨今メールや電話、会議でもモニターで顔を見ながら対話することができる。医療業界まで、遠隔診断などが行われたりする。そして、携帯電話ショートメッセージの全盛期・・・対面の必要性は確かに低下しつつある。対面しないで済むことなら、対面の機会を減らそうといって良いか?それは人によって答えが違う。
もし、どうしても経済性で考えるのなら、「対面」の最大な機能は、「空気」を介在してコミュニケーションできることではないかと思う。特に、われわれアジア人、対面と非対面で、物事の展開や結果が違ってくる場面も多いのではないか。その結果で、経済的総価値を計測すると、「対面」の評価も違ってくるだろう。
日本人は、会議や打ち合わせに出て発言しない人が多いのも事実。でも、日本人はしっかりと空気を読んでいる。それが非常に重要だ。決してバーチャルの場ではできないことだ。質問が出ないというのは、三つの原因が考えられる。
①質問がない。②質問はあるが、聞きづらい。③話し手のアプローチが悪い。
②と③は、いずれも話し手の問題だ。会議の出席者に、話しやすい、質問しやすい、意見を発表しやすい「空気」を作ってあげるのが話し手の責任ではないか。勝間氏がいう欧米企業のことだが、私も欧米企業出身で、わかる。欧米人は、「空気」を読まない人が多い。読んでも、読み方は日本人と違う。だから、勝間氏のロジックに「空気」という成分を加味すると、結果もがらりと変わるのではないか。
私のセミナーも、質問が殺到するときもあれば、シーンとするときもある。シーンとすると、私はいつも事後ものすごく猛反省する。私の話し方、アプローチ、質問の誘導、どこか悪かったに違いない、「空気の作り方」が悪かったに違いないと・・・