変わるもの、変わらないもの

 12月18日渡部先生との合同セミナーで、本年のセミナーはすべて終了した。「労働契約法」に翻弄され、二転三転、波乱万丈の1年だった。

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 1年や2年前のセミナーで話した内容をもう一遍引っ張り出して、比べると、変わったもの、変わらないものといろいろあったことに気づく。

 変わったものとしては、中国の法律の解釈や運用、地方と中央の違い、各地の違いなどなどといろいろあった。日本のメディアは、「中国の法律がコロコロ変わる」というが、実は法律そのものほとんど変わらない。変わるのが法の解釈や運用。法律の運用は、政策に連動する。政策は情勢に連動する。情勢は変わるので、当然、法律の運用もコロコロ変わったりすることになる。

 成熟した法治社会では、法律というものはやはり安定しなければならない。一旦決めたルールを変えるには、きちんとした手続きを踏んで変えるべきだ。私が携わる労働法の分野でいうと、経済好況のとき、司法は労働者に傾斜して企業の敗訴率が9割近くまで上昇する。けれど、景気後退すると、雇用や企業を守らなければならない。今度また企業に傾斜していく。これはよくない。法の運用が極めて不安定で、公正性が欠落してしまう。労使の権益を中立的に扱うのが法を司る機関の使命ではないか。

 変わらないものがある。私がセミナーで一貫して主張している「企業自身を変えること」は、いつまでも変わらない。そして、私たちコンサルタントの仕事は、企業を変えることのお手伝いである。