<上海>寿司・前川、文句なく素材と腕がトップクラス

 東京や大阪なら、これより美味しい店(もちろん高い)もあるだろうが、上海なら「前川」がトップクラスの寿司店だ。

30815_1大トロは絶品だ
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 水野さんに勧められて行ったのだが、美味しい。素材は良く、丁寧に扱っている。職人技。長崎直送というのが売りで、中国産よりは味が幾分繊細。

 大トロが旨い。まず、あの色合い、芸術品に近い。もったいないので、しばらく見つめてしまう。そして、ゆっくりと口に運ぶ。あっ、これっ、何だ。一気に口中に甘い香りが充満し、鼻腔にまで立ち上る。歯は出番もないまま、トロが溶け出す。固体、液体、気体のこのハーモニーは何ともいえない。神経がびりびり感電するように、興奮が全身に走る。

30815_2雲丹
30815b_2岩牡蠣

 今日のお薦めはと尋ねると、雲丹。パリパリと炙った海苔の上に黄金色の雲丹を乗せ、さらにちょびっと柚子こしょうを乗せると、もう、そこは天国への入り口だ。パリッ、ヌルッ、ホワァ~、またもや、ビリビリ感電状態に陥って行く。ここまでくると、放縦な欲望の虜となり、甘美な罪悪感に包まれる我が身がもう制御不能状態。

 次に出てくるのは、待ちに待った岩牡蠣である。直径10センチもある大物。何といっても身が厚い。殻一杯に鎮座する牡蠣は、貫禄そのもの。早速、頂きます。プルン、ツルン、ジュワ~、三回目の感電、ビリビリ・・・

30815_3ボタン海老
30815b_3寒ぶりなど

 まだまだ出てくる、次は、寒ぶり。鰤(ぶり)は、「魚へん」に「師」と書いて師走に最高の味だ。脂がたっぷりと乗っている。食べてみると、もう、肉の食感・・・最高な師走だ。

 冬の海はさぞかし寒い。そこで、ひれ酒の出番だ。例によって火をつけて蓋をして蒸して飲むのだが、なぜ火をつけるのか、いまだに不明だ。アルコールを飛ばすためか、香りを引き立てるためか、それとも、単なるパフォーマンスなのか、よく分からないが、とにかく頂こうと、あっという間に一杯飲み干す。体がポカポカ。炙ったひれも香ばしくパリパリと食べたところで、「しまった」と、注ぎ酒を忘れていた・・・

30815_4ひれ酒
30815b_4白子

 寿司も、当然美味しい。

 「前川」は、「上海プライス」で考えると決して安くない。贅沢に良いものを食べたいのなら、一人500~1000元はかかる。でも、品質は良いので、納得する価格だ。日本ほどではないが、少々デフレ気味の上海では、良い店を潰さずに成長してもらうという意味でも、応援したい。接待や小晴れ、自分にご褒美をというときに是非使いたい店だ。

★寿司・前川
<住所>   上海市長寧区虹橋路1157号4階【注:後日移転】
<電話>   021-6270-6107
<前川祐一料理長> 134-8243-1419
<営業>   17:00~24:00
<予算>   500元~1,200元/人