死刑執行された日本人、そして生きている日本人

 本日午前9時半、遼寧省高級人民法院は麻薬密輸罪で死刑判決が確定した赤野死刑囚の刑を大連市看守所で執行した。72年日中国交正常化以降初の日本人の死刑執行。同罪で死刑が確定した日本人3死刑囚についても、8日に刑を執行される。

 日本政府はいずれの刑執行にも「刑が重すぎる」と懸念を表明しており、日弁連も遺憾の声明を発表しているが、中国政府は麻薬犯罪には厳罰で臨む姿勢をみせている。確固たる証拠、犯罪事実があって、たとえ死刑のない国の国民でも、中国で犯罪を起こし、罪状該当の場合、死刑に処されても致し方のないことだ。

 残る疑問は二つ。

 一つ、裁判手続の問題。特に、日本領事館はきちんと国民保護の責任を果たしたかどうか。言葉の問題が大きい。法廷審理はもちろんのこと、警察の取調べも、本人がきちんとすべて理解したうえで供述しているかどうかだ。

 もう一つ、犯罪に至った経緯が見えていない。犯罪人が正真正銘の犯罪組織のメンバーで、犯罪とその結果(中国で死刑になる)を承知のうえで犯罪を行ったかどうかだ。一説によると、日本国内の暴力団が失業者や困窮者らに数10万円程度の報酬で、中国に薬物を受け取りに行かせたりする。荷物の中身も、麻薬犯罪の深刻さと刑の重さも知らない、このような無知な日本人も多いようだ。

 いわゆる、「麻薬のハンドキャリー」なのだ。

 数年前、浦東空港でこのような出来事があった。

 「すみませんが、この荷物をそこまで、運んで行っていただけませんか」、小さな子供をおんぶして大荷物を抱えて身動きも取れない女性が申し訳なさそうに言ってきた。ビジネス出張中の私は、小さな鞄一つだけだった。

 迷った末、結局私は、カート1台を持ってきてあげただけで、決して荷物には手をつけなかった。神妙な表情をする女性。ずいぶん不親切な人だなと思われたのだろう・・・

 荷物は必ず自分でパックすること。旅途中は他人の荷物を預かったり、持ってあげたりしないこと。もちろん、お金をもらってのハンドキャリーは絶対にしないこと。

 是非、皆さんも気をつけてください。

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