水野氏への反問と反論(まとめ質問提示)

 先日、「コンサルタント水野真澄氏への反問と反論」をアップした。これに対し、水野氏から丁寧に長文のご回答をいただいた。深くお礼申し上げます。本題のご回答はまだこれからだと思うが、もう一回まとめると、私が趣旨的に提起した質問は以下三点である。ぜひ、ご見解をいただきたい(すでに回答済みの部分は省略していただいた結構)。

 (1)中国7.4%のGDP伸び率(今年第1四半期)について、ロイター等欧米・日本主要メディアが報じた、「1年半ぶりの低い伸び」、「景気減速が鮮明に」という報道は、果たして水野氏が指摘したように、「誘導的・扇情的」か、どこが「誘導的・扇情的」か。そうした報道と反対に、水野氏の評価として、7.4%の伸びが「高い」というのは、「非誘導的・非扇情的」といえるのか。

 (2)水野氏の記事の見出しは、「中国投資をどう考えるか」であって、中国のGDP伸び率と中国投資の関係を論述するものであった。GDP伸び率が高く、市場が有望である。だから、投資すれば、利益が出る。この因果関係は果たして成立するのか、中国のGDP伸び率と日本企業の中国投資の収益率の因果関係を示唆するデータがあるのか。

 (3)JETROが発表した「日系企業黒字」のデータについて、調査対象外の企業、調査に未回答の企業の経営状況はどのようなものか、黒字だろうか、赤字だろうか、比率はどのようなものか、またこの「黒字」データは個別日本企業の今後の(中国での)中長期的経営に対しどのような意味合いを持つか。

 もう少し追加すると、取引コストについて、中国やミャンマー、インドネシア、米国について、どの国も取引コストがかかっていることはまさに水野氏が提示したとおりである。そこで質問だが、量的なもの以外に、質的な相違はどのようなものか、この本質的相違を論考に取り入れる必要はないものか。たとえば、民主主義法治国家とそうではない国でかかっている取引コストの異質性。

<続編>

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