中国系ファーストクラス(3)~上級クラスの昔と今、思い出色々

<前回>

35439_1中国国際航空ビジネスクラスの機内サービス

 15年前上海駐在のとき、中国全土担当だったため、毎月のように各地を飛び回っていた。当時の中国国内線は地獄だった。

 何よりも乗客が凄かった。私は特別に運が悪かったせいかもしれないが、隣にいつも嫌な客が乗っていた。汗臭い人、カーペットに痰を吐いて足で擦る人、離陸から着陸までずっと貧乏ゆすりを続ける人、鼻をほじって剥離された廃棄物を長いつめで器用にパッパッと飛ばす人・・・

 出張というと、飛行機に乗るのが憂鬱で仕方ない。そうしているうちに、我慢の限界に達する。

35439_2上海航空ファーストクラスの機内食、前菜
35439b_2上海航空ファーストクラスの機内食、メイン

 「私は、自腹で差額を払ってビジネスクラスに乗ります」とまで上司に宣言したのだった。毎回毎回、数百元の差額をせっせと自腹を切って払っていると、上司に真相を聞かれた。経緯を聞いた上司は大笑いし、「可哀想だったな」と上級クラスの利用を特別に私に許可してくれた。当時、日系マーケットで9割以上のダントツシェアを取った私は、時代の寵児だった。わがままが通用した。

 以降、私は全額経費をもらって、ビジネスクラスに乗っていた。ただ、ファーストクラスだけはご法度。ファーストに乗れるのが、地域のManaging Director以上の役員だけだった。ファーストしか設けられていない便は、我慢してエコノミーに乗るしかなかった。そこで、私は航空会社の時刻表を熟読して、ビジネスクラスの設置便をほぼ暗記したのだった。

35439_3中国国際航空ビジネスクラス(B744型機アッパーデッキ)座席

 時代が変わった。いまのエコノミークラスは、ビジネスマンも多数乗っているし、極端にマナーの悪い人はほとんど見なくなった。

 さて、ファーストクラスやビジネスクラスの話に戻る。同じスターアライアンスに属する中国国際航空と上海航空を比べると、一番目立った違いは客室乗務員である。上海航空では、ベテラン乗務員(ときには年長の方や体格の良い方も)が上級クラスのサービスを担当してくれることが多いが、国際航空は「見た目」重視か、若い美人を多用している。サービスのきめ細かさからいえば、上海航空のベテラン乗務員が上だが、国際航空はさすがに中国のナショナル・フラッグキャリアだけにイメージ面では言うことなしだ。

35439_4中国国際航空ビジネスクラス(B744型機アッパーデッキ)

 特筆に値することは、アッパーデッキの上級クラスである。国内線でアッパーデッキのあるボーイング747ジャンボ機に乗れるのが、おそらく国際航空(上海・北京線、北京・広州線)だけだ。アッパーデッキの醍醐味は、何といって、プライベート感覚である。2階にある小さな空間は、席数が少ない。ビジネスクラスになると、もっと少ない。まるで、プライベート機のような贅沢な空間である。それから、細かいところだが、窓側席と窓の間の地上に、荷物収納スペースが設けられているのが嬉しい。一々立ち上がって頭上の棚を開けることなく、手荷物から本やパソコンを出し入れできるのである。

 最近、大きく変わったことといえば、機内サービスのコーヒーだ。昔、死ぬほど激甘のミルク・コーヒーしかなかった(最初からこのように作られていた)が、最近、比較的に美味しいブラックコーヒーも飲めるようになった。

 中国の進歩はやはり大きい。

<終わり>