北欧休日(5)~世界で最も美しい航路

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 クルーズはやはり贅沢なものだ。船内の施設はたくさんあるし、退屈はしない。

42305_1サンデッキで日光浴
42305b_1ジェットバスも人気

 私の場合、せわしく動くのが嫌いなタイプで、ラウンジでコーヒーや酒をゆっくり飲みながら、ノルウェーの海を眺めることにしている。すると、隣り合わせのスウェーデン人老夫婦から話をかけられ、彼らの日本旅行のことで話が盛り上がったりして、時間があっという間に経ってしまう。

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42305b_2ガイランゲル・フィヨルドの絶景

 航海2日目の朝、朝食を取っている間に、船はオーレスン(Ålesund)の街に寄港すると、いよいよ、旅のハイライト、ガイランゲル(Geiranger)のフィヨルドに入る。

 ガイランゲル・フィヨルドは、ユネスコ登録の世界遺産である。ノルウェーの西部に位置し、海岸線が複雑に入り組んだ美しいフィヨルド地帯である。フィヨルドとは、陸地の奥深く入り込み、両岸が急傾斜し、横断面が一般にU字形やV字形をなす入り江で、氷河谷が沈水したものである。

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42305b_3ガイランゲル・フィヨルド

 絶景!ガイランゲル・フィヨルド。

 「ガイランゲルに牧師はいらない。フィヨルドが神の言葉を語るから」。ノルウェーの文学者ビョーンスティヤーネ・ビョーンソンが言う。

 ガイランゲルは、ノルウェー四大フィヨルド(ソグネ・フィヨルド、ガイランゲル・フィヨルド、リーセ・フィヨルド、ハダンゲル・フィヨルド)の一つとして、もっとも交通不便な場所に位置する。その分、俗世から隔離された神秘な姿が多くの旅人を魅了する。また、北欧のプロモーション写真や映像によく使われるのが、このガイランゲル・フィヨルドである。まさにノルウェー、そして北欧のシンボルである。

42305_4ガイランゲルの村に上陸

 オーレスンの街からS字を描くガイランゲル・フィヨルドの行き止まりには、ガイランゲルという小さな村がある。航海2日目の午後14時前に、豪華客船「ミッドナッソル」は静かにガイランゲル村の船着場に到着した。

 ここで、夢のようなクルージングが終わった。

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