ガイランゲル村では、フィヨルドを見下ろすガイランゲル・ホテルでゆっくりと1泊する。
夕食はホテルのレストランで取る。フィヨルドを見渡すオープンテラスでの食事は気分がいい。北欧に限らず、ヨーロッパではオープンエアでの食事が大変日常的になっている。食べ物が外気に触れると美味しく感じるのは、気分が開放的になったせいかそれともそれなりの科学的根拠があるのかは分からないが、とにかく理屈抜きに、戸外で食べる食事は美味しい。
献立は、ザリガニのクリームスープ、ノルウェー産シーフードミックス、それから、トナカイサラミとアプリコットのピザ。
北欧はやはり、素材に尽きる。素材は素晴らしいが、調理法はいたって単純。単純な塩焼きならいいが、バター茹でとなると、少なくとも私はあまり好まない。違和感がある。
それでも素材がよいので、美味しくいただけた。何といっても、オープンエア、フィヨルドの景色が最高の調味料となった。
そして、北欧に来て、初めての一本をいただく。ノルウェーでは、室内全面禁煙となっている。禁煙というよりも、タバコは外という習慣が定着している。シガーの場合、大変濃厚な煙を出すので、シガーバーなどは特殊の排煙装置を取り付けているし、家で吸うときも、換気で大変苦労する。しかし、オープンエアの場合、排煙や換気などを気にせずに楽しめる。
気がついたら、いつの間にか周りのざわめきが消えていた。ガイランゲル村には、小さなホテル2軒だけしかない。日中に船や観光バスで大挙して押し寄せた観光客は、夕方になると引いていく。
ウーウーウー、出港するクルーズ船の汽笛がフィヨルドに響き渡る。日没に伴う涼気が微風に運ばれ、旅人の心にセンチメンタルさをしみこませる。そのセンチメンタルさは不思議にも、甘美なものである。









