スモールなラグジュアリー

<前回>

 ビジネス出張は、通常マリオットやウェスティンなど大手フランチャイズ系のホテルに泊まるが、プライベートの休暇はなるべく、非フランチャイズの独立系ホテルを使うようにしている。

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50938b_2今回泊まる標準「Sala Villa」の客室(56平米)

 フランチャイズ系は一通り安心感があるものの、あまり個性を感じられないし、量販感覚で、きめ細かい個別サービスも期待できない。今回泊まった「Nakamanda Resort and Spa Krabi」は独立系で、SLH「SLH=スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(Small Luxury Hotels of the World)」加盟ホテルである。

 「SLH」は、世界70カ国以上にある500軒を超える独立系の小規模高級ホテルで構成されたホテルブランドで、海辺の隠れ家リゾートから、古城ホテル、ジャングルサファリロッジまで、それぞれの土地を優雅に楽しめる個性的なホテルのシリーズだ。

50938_3夕涼みのできるプライベートテラス

 平均客室数わずか55室という、とにかく「スモール」が、「ラグジュアリー」の原点になっている。

 覆面検査。一旦加盟したホテルには、定期的に覆面検査が行われる。不合格なら、改善命令が出され、それでも改善が確認されない場合は、会員資格剥奪になるという厳格さ。覆面検査員の検査は、部屋の予約から始まり、ホテル担当者の受け答え状況が採点対象となる。このように、予約から送迎、チェックイン、宿泊、食事、チェックアウトまでの過程に、ゲストの嗜好や特別リクエストへの適切な対応、サービスの提供状況が細かく審査・採点される。

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50938b_4Nakamanda Resort構内風景

 商品は大量生産・大量消費、サービスはフランチャイズ中心、このような時代に、「SLH」は異色の存在で、消費者セグメンテーションの独自性を見せている。

 今回1週間の滞在中に、夕食メニューの内容で一回だけクレームをつけたが、速やかに解決してくれた。そのうえ、当日の夕食はすべて無料にするとまでマネージャーが申し出た。それだけは、堅く断った。クレームに真摯に対応する姿勢だけで十分だ。無料などは受け入れることができない。売り上げは、サービス改善の原資でもある。それをしっかり確保してほしい。

<次回>