食塩騒動の根源、「生活防衛」ならぬ中国人の「生命防衛」

 4月14日東京セミナーについて、問い合わせはあるが、現時点の情報では、予定通り行うことに変更がない。

 一部東京脱出も見られるが、天災よりも人為的パニックがはるかに恐ろしいと痛感する。中国の食塩買い溜め、いわゆるヨウ素剤摂取による放射線被曝対策は、科学的ではない。「自分で勝手にヨウ素剤を服用するのは避けるべきだ」と世界保健機関 ( WHO ) は、3月18日ジュネーブで開かれた記者会見で警告した。また、WHOの広報担当グレゴリー・ハルツ氏は「当機関の健康面の判断からは、現在のところ東京への旅行は危険なものではない」と語った。

 中国のパニックは、一部市民の無知に起因している。成熟した大国を目指すうえで、国民の普遍な教育水準の向上、理性的な独立思考力の養成が欠かせない。

 政府の呼びかけよりも、根拠なきデマを妄信して追随する市民。「大丈夫だ」と政府が言えば言うほど、市民はパニック状態に陥る。政府に対する不信が根強い。

 中国国民は全般的に疑い深い。長い歴史の中、権力に翻弄された末、自分は自分で守るという信念は揺るぎないものとなった。不況下の日本国民が「生活防衛」であれば、中国国民はむしろ恒常的な「生命防衛」に徹している。そのDNAは、代々、脈々と受け継がれている。そこから派生しているのは、異常なほど強い権利主張傾向である。