議論の場なければ出番なし、大手K社に取引中止を通知する

 予定より4か月も遅れて、経過しているが、プロジェクト残存部分の実施指示が出ない。大手K社案件で困っている。

 実施が遅れても問題はない。3か月先やら半年先やら、概ね実施の目途を示してくれれば、こちらも予定を開けておくようにすればよい。複数社の案件予定は数か月先までスケジュールを組んでいるわけで、弁護士も最近激務に追われている。

 董事長の意思を確認したいからと、このK社の担当者からは一向に明確な回答がない。

 董事長の意思決定であれば、その意思決定に必要な材料を提供する用意がある。会議をやって議論をすれば、2時間で結論が出るはずだ。どうもそういう雰囲気もない。

 それに対して、毎回毎回の案件打ち合わせに、丁寧に議題や予定を文書化する会社もおられ、十人十色、経営者の姿勢なのだろうね。

 以前、案件進行中に、私は、K社董事長と相反の意見を主張し、激論を交わしたことがある。K社董事長は、「私、いままでたくさん見てきたから、経験でこれが正しいと分かる」と主張すると、私は、「経験というのは、間違いかもしれません。時も場所も違えば、状況もまったく違う中国で、過去の経験にこだわるのが経営者の正しい姿勢ではありません」と正面から反論した。K社の担当者にはずいぶん困らせて、申し訳なく思ったが、顧客に媚び、迎合することは、私にはできない。

 企業経営の現場が必要としているのは、第一に論理的な議論、第二に論理的な議論、そして、第三に論理的な議論である。議論の場がなければ、コンサルタントの出番もない。

 今日、K社に早期結論を求め、今後取引中止を申し入れた。