● 中国の不動産不況
中国の不動産不況は深まり、好転の兆しが見えない。そんな状況の中で、いわゆる中国経済は崩壊するのか?
不動産には、実需用と投資用という2種類がある。中国の場合、後者が前者を大きく上回り、空き家は30億人分あるとも言われている(2023年10月2日付けBusiness Insider)。江沢民と胡錦濤時代の地方政府とデベロッパーは、官民一体で不動産ブームを作り、巨大な富を巻き上げ、時限爆弾を残して儲け逃げした。
習近平は、後始末に回された。官僚の腐敗なら即時処理できるが、不動産バブルはとにかく厄介。乱暴に潰すと、資産価値の暴落と破産ブームで暴動が起こる。だから、慎重に段階的に処理していくしかない。これは非常に良い国民教育だ。消費者が過剰消費(投資・投機を含めて)を控えれば、供給側も過剰生産を止めざるを得ない。
結果としては、西側諸国の提唱する環境保護、グリーン・ニューディール政策に合致する。そういう意味で、習近平を応援すべきではないか。ところが、西側メディアは、中国の不動産バブルを批判しながら、バブル潰しも批判する。とにかく、中国のやることなら、なんでも批判すると、論理的とは言えず、非常に幼稚である。
中国経済は、過去の日本のようにバブルが崩壊するという説が流れて久しい。『K0655-<時論>中国経済の日本化?バブル崩壊の仕組み<前編>』と『K0656-<時論>中国経済の日本化?バブル崩壊の仕組み<後編>』という2本の短い動画で解説しているので、ご参照ください。
不動産バブルが弾ければ、中国人はもっと理性的な消費に傾き、「爆買い」が減る。この現象はすでに現れつつある。バブルなき経済成長はむしろ健全的ではないだろうか。こういう真実と本質は、西側メディアはほとんど報じない。
● 米国追随の本質
中国経済の崩壊を唱えるところも、日本メディアの米国追随の姿勢が明らかだ。少し話が変わるが、日本人はアメリカに原爆を落とされて敗戦しながらも、なぜ一転して米国に傾倒したのか、いささか理解に苦しむ外国人も少なくない。
日本人の対米感情と行動は、一言でいえば、「ストックホルム症候群」と「長いものには巻かれよ」の合体だ。ストックホルムで発生した事件で、人質監禁の被害者が長時間犯人と過ごすことで、犯人に親近感を抱くようになる病的心理である。その心理に加えて、「長いものには巻かれよ」という日本人の行動原理がある。米国は世界最大級の「長いもの」であり、巻かれたほうがいいという打算だ。
日本人は一般的に、正義感云々には鈍感、ないし無感覚だ。たとえば、会社の不正に加わった者は、「会社のため」だとして、自己正当化する。その人にとって、会社が「長いもの」であるからだ。私がずっと言ってきたことだが、中国が米国に取って代わったとき、日本人はあっさりと中国という新しい「長いもの」に巻かれるだろう。それにあまり抵抗を感じないはずだ。
故に、今の中国は、日本に興味を持たない。戦おうともしない。対米戦に資源を集中投下している。米国を制するものは、日本を制す。経済崩壊と言われても、あっそうですか、勝手に言ってろという感じだ。





