ケニア(3)~アブダビがアブない、冷や汗コンティンジェンシー

<前回>

 2012年8月8日、巨大台風11号が上海を直撃し、中国気象当局が異例の赤色警告を出す。4色ある警報色の中で最も深刻なもので、浦東と虹橋の両空港は閉鎖状態に追い込まれ、一時ほぼ全便欠航という深刻な事態になった。

85727_1エティハド航空867便、浦東発アブダビ行きは搭乗開始

 私が楽しみにしていたアフリカ旅行は危うく日程の再調整を余儀なくされるところだった。というのは私が利用するエティハド航空の上海発アブダビ経由ナイロビ行きの便は、アブダビでの乗継時間が3時間ほどしかなく、上海出発が2時間以上遅れると、アブダビ発のナイロビ便には間に合わないからだ。

 そして、アブダビ発のナイロビ便は1日1便しかなく、ナイロビ入りがそのまま1日遅れると、以降の日程がすべて狂ってしまう。8月はサファリのピークシーズン、現地ホテルの調整が不可能だ。パッケージツアーなら、旅行会社に丸投げして面倒を見てくれといえばいいのだが、私の場合すべて自分手配なので、現地のホテルや国内線、サファリ予約を一つひとつ全部電話しないといけないので、考えるだけで頭が痛くなる。

85727_2アブダビ到着
85727b_2華やかなアブダビ空港ターミナル内

 何としてでも予定通りにナイロビ入りしたい。8月9日出発前に、エティハド航空以外の航空便の接続時間をすべて調べた。可能性が残るのは、エミレーツ航空だけ。10日午後15時にアブダビではなく、ドバイ発ナイロビ行きの便にまだ空席が残っている。アブダビ空港とドバイ空港は1時間から2時間の移動で接続可能。ドバイ市内の渋滞を折り込むと、エティハド航空の上海発アブダビ便が最大4~5時間遅れても、何とかドバイに移動してエミレーツのナイロビ便には間に合う。

 9日昼からの浦東空港出発便の状況を確認すると、平均2時間の遅延。この調子で行けば、何とか行けそうだ。あとは神様に祈るのみだ。

 8月10日午前1時出発予定のエティハド航空EY867便アブダビ行きは1時間10分遅れて、未明2時過ぎに浦東空港を飛び立った。

 旅にも、コンティンジェンシープランが欠かせない。コンティンジェンシープランとは、事件や事故・災害などの不測の事態が発生することを想定し、その被害や損失を最小限にとどめるために、あらかじめ定めた対応策や行動手順のことをいう。今回は直前になって慌しく狼狽したが、次回からはもう少し、早期計画段階でのアクションに取り組もうと。コンティンジェンシープランは、何も経営コンサル上だけの話ではない。

85727_385727b_3ナイロビ行きエティハド航空EY641便機内でリラックス

 台風での欠航や遅延対応で慌しい航空会社の係員には、こちらで用意した代替案を速やかに提示すれば、優先的に問題解決される可能性も大きくなるわけだから、自助努力が必要だろう。

 8月10日早朝7時、エティハド機がアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビ国際空港に着陸した。ラウンジで朝食を取り、シャワーを浴びてちょうどいい時間にナイロビ行きのEY641便に乗り込む。

85727_4ナイロビ・ジョモ・ケニヤッタ国際空港に到着

 アブダビ発ナイロビ行きの便では、事前オークション(別途詳述)で800元の追加料金でビジネスクラスへのアップグレードを落札しているので、ゆったりした座席と豪華な食事を楽しみながら、アフリカへ向かうことができるのだ。

 前夜台風騒動での慌しさがどこかに吹っ飛んで、心の余裕も出ると、シャンパンやらワインやらコース料理やら5時間弱のフライトはあっという間・・・。8月10日午後13時10分、予定通りケニアの首都、ナイロビ・ジョモ・ケニヤッタ国際空港に到着した。

<次回>