「火事だ大変だ」報道超えて、深層解明と問題解決の情報サービス

 この数日、事務所のある虹橋・万都中心周辺は酷い渋滞に巻き込まれている。車が全然動かない。運転手によると、目と鼻の先にある日本領事館前の道路がいまだに規制・遮断されているのが渋滞の原因だという。

 いわゆる「反日」デモの余韻だ。

 中国人所有の車やレストランを破壊し、香港系の店舗を略奪し、ひいては中国の街を大渋滞させ、そして、世界からの悪評、社会的コストの負担を強いられているのは中国である。「反日」デモで中国人自身へ与えられた損害は大きい。

 私が一貫して言っているように、「反日デモ」の中身は、果たして本物の反日か。つまり、反日のためのデモか、デモのための反日か?しかし、多くの日系メディアはいまだに目線を「被害者」となる日系企業やその関係者に向けている。その被害ぶりをアピールしている。なぜ、デモ参加者にフォーカスを当てないのだろうか?どのような人がデモに参加しているのか?動機付けはどうなっているのか?・・・

 事件のうわべだけでなく、洞察力をもって真相を探り出し、公にするのがメディアの真の使命なのだが、そういう意味で、今の日系メディアは合格とは言えない。レベルが低い。取材の目線や取材の手法、報道の姿勢を再考してほしい。

 すべて、ジャーナリストの責任ではないはずだ。以前、私の親友で某日系大手メディア中国駐在支局長のX氏は取り上げ題材の問題で、本社編集局との意見不一致で後日冷遇されたとか。意見の不一致は結構だが、議論の場がなくなればおしまいだ。

 「火事だ、大変だ」だけを報じるのがメディアであれば、火事の原因や発火場所の特定、何よりも火事に備えた防衛措置の構築・・・などなど、われわれコンサルタントに残してくれる空間が大きく、そういう意味で感謝しなければならない。

 タイミング的によく、ちょうどいまは当社顧客企業向けの情報サービスの改革を計画しているところだ。来る2013年4月から、サービスは一新する。在中日系企業の経営者・管理職向けの「週間経営レポート」という形で、法務・人事労務を中心とし、ニュース事件の掘り下げと企業戦略や実務への影響の分析・解説、問題解決の提案などをカバーし、企業経営の意思決定をサポートする、このような情報サービスの構築に全力を挙げる。