やることとやらないこと、今年の中国

 先週木曜日は上海で新春講演会。

 今年は在中日系企業にとって決して楽な一年ではない。今年元日付の「産経新聞」国際面に掲載された私のコメントだが、在中日系企業は、三つのグループに分化される。

93306_21月17日新春講演会、花園飯店にて

 まずは、周知の「チャイナ・プラス・ワン」グループ。ある程度気力と体力を持ち、中国を含むアジア域内で戦略的配置の調整に取り組む企業グループである。中国プラスアジアではなく、中国を包括するアジアの複数ベースの構築である。

 次に、「チャイナ・ゼロ」グループ。いわゆるローテク中心の労働集約型で、人件費上昇に耐えられず、なおかつ労働生産性向上が望めない企業グループ。あるいは、政治的影響に弱く、日中間の摩擦や反日運動で企業基盤の脆弱さや収益性の大幅低下が重大な支障をきたす企業グループである。このグループ所属の企業は、早急に中国脱出を図るべきだろう。埋没費用(サンクコスト)を切り捨ててだ。

 最後に、「チャイナ・オンリー」グループ。客観的に中国でしか行えないビジネス、あるいは主観的、戦略的にそのような意図をもつ企業グループ。これは完全に中国企業にローカル化する、これ以外選択肢がほとんど残されていないのだ。

 なので、まず、自社はどのグループに所属するか、これをしっかりと見定め、すぐにアクションを起こす。戦略とは、自分の位置と目指す目標を確認し、やることとやらないことを決めることだ。やることよりも、やらないことを決めるのがはるかに大切だ。

 中国でまだ商売ができる。まだ金儲けができる。だから、残ろう、というのも一つの考え方。ただ、日中戦争になってもその経営がちゃんとやっていけるかどうか、まず判断する必要があるだろう。日中友好を毎日祈っているとか、戦争がないことを信じているとか、それも人それぞれだから、好きなようにやればいい。コンサルタントとして、どんなことがあっても企業経営がやっていけるようにするのが仕事だ。