民主主義は失敗した

 「民主主義は失敗した」

 キショール・マブバニ氏は率直に語る。民主主義は単なる手段であり、目的ではない。民主主義の本来の目的は、大多数の国民に幸福をもたらすことである。しかし、現実にはその目的が達成されていない。

 彼の言葉は、日本人にも示唆を与える。日本人の生活を苦しめているのは、中国の独裁権威主義ではなく、むしろアメリカの民主主義である。言論の自由があっても、選挙に足を運んでも、生活は一向に改善されず、現実は何も変わらない。それは民主主義が失敗しているからだ。

 民主主義は「自由」と「平等」という理想を掲げている。しかし、現実には真の「自由」も「平等」も存在していない。古代ギリシャの哲学者たちが2400年前に指摘したように、民主主義は「劇場型政治」に過ぎず、その実態は一種の「芝居」であるという見解は、今もなお的を射ている。

 キショール・マブバニ氏はさらに、民主主義が普遍的な成功モデルではないと断言する。しかし、アメリカをはじめとする西側諸国は、民主主義を「普遍的価値観」として世界に押し付け、独裁的な権威を「悪」として排除しようとしている。この強硬な姿勢は、逆に民主主義そのものが自信を喪失している証拠でもある。

 民主主義の本質と限界を見つめ直す時代がやってきたのだ。

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