学位論文最終答弁

 6月6日、華東政法大学・法学博士学位論文の最終答弁。答弁審査委員会教授5名から5票の全票賛成で、論文答弁が通過した。

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 「立花博士、おめでとう。ご苦労さま」。教授たちのねぎらいと祝福の言葉に目頭が熱くなった。48歳、最年長の卒業。そして、外国人として初の労働法学位取得。やりたいことはすべてやった。

 1時間の答弁は気がついたら日常のセミナーの延長になっていた。といっても実務講演ではなく、学術論文の発表なので、緻密なロジック展開、論点や主張の明示が欠かせない。

98977_3答弁会場はこんな感じ

 「もっと、判例や事例を入れてもよかったじゃないのか。取引費用の比較、経済学観点だったら数字ももっと丁寧にしっかりやってほしかったな」。やはり突かれた。判例法国家ではない中国で、私は判例を取り入れるか、随分迷った。そして、法経済学のアプローチを取っていたため、特に法制度の実効取引費用の論証も必要だった。

98977_4製本された論文は十数冊も提出

 さらに日本労働法史、日本の雇用制度の経済性評価など比較法レベルの目線ももちつつ全体的に複数の軸が立体的に交差しているので、かなり苦闘した。欲張らずにもう少しラインをシンプルにすれば良かったとも反省した。

 「君は留学生だから、外国人基準にして、これ以上の難問をやめてもいいよ」、「いや、通常の質問で結構です。答えられなかったら、正直に言いますから」と強がった自分は悔いを残したくなかった。

 疲れ切った。恩師感謝の夕食会では、ワイン3杯で酔ってしまった。